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2021年08月20日20:58

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ショートミステリー(16)戦国日本兵

千葉真一がコロナで亡くなった。
千葉真一で思い出すのは大昔に見た、戦国自衛隊、という映画。
ここは、千葉真一の追悼を兼ねて、戦国自衛隊のパロディを考えてみた。

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ペリリュー島でアメリカ軍の上陸を迎え撃とうとしていた中川大佐を含む大隊の一部が時空の歪に呑まれて紀元1600年にタイムスリップした。

兵士1:ここは何処だ?どうも時代が違うらしいぞ。
兵士2:見てみろあの山を、大一大万大吉の旗印だ。向こうの山には鎌のマーク、あれは確か小早川秀秋の家紋ではないか?
兵士3:前方の遠くの山を見てみろ、葵の旗印だ、あれは徳川家康の家紋じゃないか!

中川大佐:うーむ、何故かはわからんが、どうも我らは350年ほど昔の、しかも関ヶ原の戦いの現場にタイムスリップしたらしい、、、どうしたものか?

中川:我らはペリリュー島で最後の一兵迄米軍と戦うつもりだったが、出来ればこんな戦争などしたくはなかった。
石原莞爾中将はこの戦争の原因はペリー来航にあるといったが、その元は徳川時代があまりに長く続きすぎたことだ。
ここは天下分け目の関ヶ原の戦いの現場だ、ここで我々が西軍に味方して西軍を勝たせれば歴史が変わり、太平洋戦争も無く、我々はペリリュー島にいないかも知れない。
ようし、いっちょうやってみるか!

中川は西軍の石田三成、宇喜田秀家、大谷吉継らにコンタクトし、事情を話し西軍に味方することを伝えた。
中川は要所にタイムスリップした兵士と機関銃や火器を配備して、戦が始まるのを待った。

朝になり霧が晴れて、東軍は一斉に突入してきた。関ヶ原の戦いの開始だ。
中川隊は機関銃や火器で応戦した。

何しろペリリュー島で、数倍の戦闘のプロ集団、すなわち米海兵隊を、玉砕覚悟で迎え撃とうとしていた中川隊である。
戦国時代の兵士など敵ではなかった。
東軍はたちまち総崩れとなった。

しかし流石は徳川家康、直ぐに状況を悟って撤退を始めた。
ここで、小早川秀秋や吉川広家が家康を追えば、家康の首が取れたのに、彼らは動かなかった。
家康は岐阜城の辺りまで逃げ延びた。

中川:三成殿、勝ちましたぞ、東軍は壊滅し家康は逃げ去りました。これで歴史が変わりますぞ。
我らは時空の歪の影響でここまで来てしまったが、自然の摂理がそれを許すはずはない。我々は直ぐに元の時代に戻されるであろう。
三成殿、後は頼みましたぞ、時代を変えて下され!

それを言うや否や、空に不気味な雲が立ち込め、稲妻が起こり、中川たちはまた時空の歪に吸い込まれて元の時代に戻っていった。

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戻ったはいいが、同じくペリリュー島での元の現場だった。
歴史が変わった気配は全く感じられなかった。

中川:おかしいな、あれだけのことをやって全く歴史が変わらないとはどうゆうことだ!三成はいったいどうしたのだ?

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実は体があまり丈夫ではなかった三成は、この時日本兵が持ち込んだ南方の疫病に感染し、関ヶ原の戦いの後に病没していたのだった。




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