資本主義の失敗、失敗した資本主義

何をもって成功／失敗とするか。とにかく大きな事故や災害・事件――たとえばミュンヘン五輪のテロみたいな――もなく、五輪閉会式と五輪旗引継ぎまでこぎつけた点から見たら、新コロ禍の中のスポーツ大会としては成功だったと、反対派のおれですら思う。

選手やスタッフの皆さまお疲れさまでした。

だが、肝心の「資本主義」にしたらどうか。

アメリカのNBCが、この時期は米国内で大きな大会がなくて視聴率が稼げるからというので猛暑の７〜８月開催をゴリ押しするから、日本側の組織委員会が「７月はスポーツに最適な気候」と大ウソをついた。そのあげく、肝心のアメリカで視聴者に注目されずぶざまな低視聴率になった。

アメリカだけでなく日本のメディアも開催前は中止を叫び、イザ開催されてみると五輪の競技のニュースを流しまくるという鮮やかすぎる手のひら返しで世論の失笑と指弾を浴びた。（メディアに対して、IOCやJOCのあのひどいグダグダぶりを一切報道するなというのも酷な話ではある……）

また、聖火ランナーよりコカ・コーラなんかの宣伝車両のほうが目立ちまくって視聴者から総スカンを食らった。そのコカ・コーラは教育委員会を通じて観戦する（予定だった）児童に「コカ・コーラ社以外の飲料のラベルは剥がすこと」と指示したと報道され、市民の憤激を買った。会場内の280円の自販機も「ぼったくり」と言われて叩かれた。

開会式・閉会式だってネット上では、100億円以上の費用を投じた結果がアレなの？　日本の衰退を見せつけられるようだったなどと言われ、電通による企画段階での横槍・時代遅れの演出センス・巨額の中抜きが噂される始末。

企業が五輪に関与して宣伝になるどころか、むしろ反感買って好感度を下落させてりゃ世話はない……。

段ボールベッドを納品したあの会社ぐらいじゃないだろうか。五輪に関わって名を上げた会社なんて。

東京オリンピック「祝祭資本主義」では企業の横暴と強欲とご都合主義があまりにも鼻について、関わった企業は投下した資本に見合う利益も出せず、大々的に社名を出すのも憚られ、五輪関連で下手に名前が出れば市民やネティズンに叩かれる羽目になった。資本家的には東京五輪は大失敗、資本主義的には欲をかきすぎてオリンポスの神々に「呪われた五輪」になり、金輪際五輪に関わるのはもうコリゴリというのが多くの企業人の偽らざる本音ではなかろうか。

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■東京五輪失敗の根本原因はコロナではない　経済思想家・斎藤幸平
(AERA dot. - 08月09日 13:10)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=173&from=diary&id=6623323