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2021年08月03日17:58

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プロDD・M 〜その206

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「勝ったよ...お姉さま......」
 ここまでの激戦を物語るかのように、マチネを倒したユキは、ふっと力が抜けて倒れた。
 全てを出しきった。不思議と爽やかな気分だった。
 だが、ここは戦場。そんなユキを待っていてくれる敵はいなかった。
「わぁ!いてて...マチネめ、よくもやりましたね...まぁいいでしょう...目の前にお手柄が2つも転がっているのですからね」
 気絶から目覚めたセキは、倒れているユキ、そして、モミジを見てにんまりと笑った。
 これぞくものサーカス団の伝統芸である。
「Lie Cheat and Steal!」
 そう言って、まずセキは、倒れているユキの首に向けて、そっと刃を突き立てた。


 ダイとの戦いは激しさを増していた。
 俺の拳はこの人に教わったものだ。師を越えられるだろうか。
 だが、間違った道へ向かう師を正すことも弟子の務め......!
「DD不敗マスターダイィィ!覚悟ーー!!」
「つけあがるな!!秘技!十二推面宴感謝祭!」
「うおお!ぬおっ!」
「ダイ・ボルグ!!」
「ぐわぁぁぁ!」
 神速の一撃。俺は突き刺され、その勢いで地面に叩きつけられた。
「どうだ!これほど痛めつけてもまだ貴様にはわからんのか!この馬鹿弟子がァァァ!」
「な…なにをォ…」
「貴様も見たはず!ヲタクどもの醜い争いを!」
「ああっ」
 そうだった。ここに至るまで、様々なヲタク達の戦いを見てきた。
 そして、女神の力を独占しようと目論む醜い連中も......。
「そうだ。帝国と檸檬連合が頂上戦争などとうつつをぬかしておる間にも、鮫地方でも争いが絶えず、林檎地方も謀略が進んでおる!こうしている間にも、この呪い大陸は、滅びの一途をたどっておるのを忘れたかぁ!マルスよ...貴様は、女神達の断末魔の光景を前に、何も学ばなかったのか!ならば、大陸をこんな目にあわせているのは誰かという事も気づくまい!」
「はっ...」
 そうだった。俺も実は気づいていたのだ。
「俺はな、それに気づいた時、こんな大陸の姿をを傍観しておれんようになった。そこで、ある誓いを立てた。何があろうと、この大陸を女神の恵み溢れる元の姿に戻して見せるとなぁ!」
「な、なんだって...」
「よいか?俺の目的はな、この大陸のヲタクの抹殺なのだ!」
「き...貴様ぁ...!女神の力をそんな事のために!」
「いや、それこそ女神の意思なのだ」
「なんだと!?そんなばかな!」
 そんなはずはない。俺が聞いた女神の声は......。悲しんでいた。確かに悲しんでいたが!
「わからぬか?大陸を汚すヲタクそのものがいなければ、女神はおのずと蘇る!そして最強の力を持ったスズハラさえいれば、もう誰も大陸へ来られなくなる。ふっはっは.....ふっはっはっはっはっはっ!ふはははははは!そうだ!それがいい!それが一番だ!その為ならば、ヲタクなど滅びてしまえ!はぁーはははははは!」
「せ、先生.....」
 俺は先生を救わなければならない。
 DDを平和の象徴と言っていた頃の先生に......!
「はっはっはっはっ!そうだ...償いだ。犯した罪はつぐわなければならぬ!そう、この手でな!そう、無意味に女神の加護を奪い合う!全てが偽者の世界の中で生きている事も気づかぬ、愚かものどもから!この大陸を取り戻す!」
「だからといって!ヲタクを抹殺していいはずが無い!」
「まだわからんのか!」
「うっ...」
「何がターロック帝国だ!なにが理想的な帝国よ!私利私欲に走った暴政が何をもたらす!所詮はただの暴君ぞ!」
「だが!無闇に人が死ぬよりははるかにいい!」
「だからお前はアホなのだぁ!」
 そういうと、ダイのオーラが槍先に集中した。
「真!!ダイ・ボルグ!!!!」
「うおおおおお!!D4C!!!!」


「これが制御装置か」
 ヨシケーはマキゲを退けると、消し炭の魔女が残したという魔法陣を解除すべく行動した。
「よっ、と」
 刀をさっと抜くと、一瞬で装置を真っ二つに切り落とした。
「これでぶちかませるな...あれを」
 そして、自陣の方を見ると、すぐにどこかへと消えた。


「わぁ!十六闘士ユキ.....討ち取ったりィ」
 セキの刃が、ユキの首をかっ斬ろうかというその時だった。
「わぁわぁわぁ!?う、腕が?動かないですね??」
 セキは振り上げた腕の方を見た。
 すると、途端にその顔は青くなった。
「悪いね、その子、疲れてるんだ。今はそっとしておいてくれない?」
 そう、ヨシケーが制御装置を破壊したことにより、一命を取り留めた女がいたのだ。
「も、も、もももももも、モミジィィィ!!」
「ああ、もっと手っ取り早い方法があったわ」
「わぁ!!!!」
 モミジがもう片方の腕を振るうと、セキの首が高く飛んだ。
 そして、モミジは何事もなかったかのように残った身体を吹っ飛ばすと、ユキを抱き抱えた。
「あなたに助けられちゃったね、ありがとう、ユキ」



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