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2021年07月03日22:11

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6月の。

6月に観たのは『ポータルズ』『スピリッツ・オブ・ジ・エア』の2本。

●『ポータルズ』
人工ブラックホール実験に成功した翌日、世界中を襲った謎の停電。そして各地に現れる無数のモノリスみたいなパネル。その向こう側からの『声』を聞き、取り込まれ、次々と向こう側へ消える人々。何が起きて居るのか。世界は、人間はどうなるのか?みたいな?
何だろうな。面白そうだと思ったしこうやってあらすじまとめてみても面白そうなのだけど、でも予想外に微妙だったのだよな。つまらないとまでは云わんけど、もうちょとこう、何か。足りない。気が。
荒野でポータルと遭遇し事故を起こし、病院で監禁状態で目覚める男。彼の左目はポータルに似た光を放つ異形のモノに変貌しており、ポータルに魅入られた医者はその目を欲しがり摘出しようとする。この男アダムが家族を探す流れを主軸に、複数の場所と登場人物を継いでゆくオムニバス風映画。
ワシントンの緊急コールセンター。数年前に実在しない番号から掛かって来た謎の電話はポータルのコトを語って居た。それを受けた1人の職員は以来様子が少しおかしくなり、センター内に現れたポータルの声を彼だけが受信し、同僚たちに銃を向けてポータルに入るように促す。「入れと云ってる」と。
ジャカルタの地下駐車場。姉妹か親友か、諍いをする2人の女。其処にポータルが出現し、居合わせた人々は操られゾンビのようになり、逃げる彼女たちを追い掛け襲って来る学生映画的な定番ホラー。
そしてプロローグとエピローグを飾るブラックホール科学者コンビ。ポータルをどこでもドア的に利用出来るのではと考えて研究を続け、それは成功するが……て云う、コレまた王道的オチまでを担う。
各パァトで監督さん別々なのかな?何かバラバラの印象を受けるのだよね。それはそれでオムニバスとしては正しいし、観て居て楽しくもあるからいいのだけどもジャカルタ編はちょと稚拙チープだったな。
ミニマムでチープでゴアで破滅的な2001年て感じ?操って居る存在も似たようなモノなのかしら?知らんけど。ポータルに取り込まれる人間と拒絶される人間が居るのが気になったな。その差は何?
コールセンターのスタンだっけな?数年前に謎の電話を受けてから様子がおかしくなり、ノートにポータル関係のメモや考察をギッシリ書き留め続けて居る男。こいつはなかなかよかったね。
ポータルの向こう側。家族を探すアダムに『彼ら』は云う。此処に家族は居る。此処に留まるなら人間の方の目を、立ち去るなら変えられた方の目を貰うと。それに対し不服従の証なのか、自分の手で両目ともくり抜いて仕舞うアダム。彼が『日常』に戻れたのはそのおかげなのか。そのおかげなのだろうな。
こう考えて来るとジャカルタゾンビ編のせいで微妙だったのかな。それと科学者たちのオチと。

●『スピリッツ・オブ・ジ・エア』
砂漠の只中に住む車椅子の兄とエキセントリックな妹。砂漠を越えて現れた男。男は切り立った山を越えて北へ逃げるため、兄はかつての夢を叶えるために、協力して飛行機を作り始める。男を悪魔と呼び警戒する妹は彼を排斥しようとするが……。
3:4とか?正方形に近い映画としては異質な画面。一面の砂漠に立ち並ぶ十字架、謎の木組みのオブジェ、地に突き刺さる錆びた車の群れ。その脇をフラフラ歩いてゆく人影。そして砂上に椅子を置き変な楽器を演奏する女。て云う冒頭数分で『あ。コレ好きだ』て直感。実際ケッコウ好みの映画でしたよ。
文明が崩壊したのか何なのか、見渡す限りの砂漠の真ん中に置き去りにされたかのような兄妹の家。ストーリィの中核を成す兄フェリックスと逃亡者スミスの飛行機造りが何とも愛おしい。フェリックスはかつて墜落事故を起こし半身不随で手製の車椅子生活なのだけれどそれでも飛行機を愛し続けてる。スミスはただ逃亡の手段として欲したハズの飛行機に、最初「目を覚ませ。人は空を飛べない。うんざりだ」と吐き捨てた飛行機に、次第にのめり込んで行く。要求された体力作りを黙々とこなす姿が可愛い。
反して妹のベティ。狂人なのか何なのか、奇妙ななりをして奇妙な弦楽器を演奏し、闖入者スミスを異常に警戒し憎悪して追い出そうとする。彼女が愛するのは父の遺したこの家での変わらない日常。兄の飛行機熱は嫌いで、それを呼び覚まさせたスミスも嫌い。彼女の繰り出す幼子のような嫌がらせ。
普通の映画なら『反目して居た来訪者との交流を経て妹の心境も変化し……』みたいな流れになると思うけど最後まで一切デレなかったなベティ。狂気と、変化への恐れと、亡き父親の遺した縛鎖と。気が違ったようにローソクと十字架の溢れる家。それは夢破れたキリスト教の伝道師だった父の遺した精神の鳥籠。そしてその一部のようなベティ。その中にあってただ一箇所、壁中に空の絵が描かれた兄の寝室。
そう。兄は飛行機に乗って此処を出て行きたい。妹は此処で変わらぬ日常を送りたい。でもお互いただ一人の肉親だから離れられず。コレもまた縛鎖。あの兄妹はこれから先ずっとあの砂漠の真ん中で生きてゆくのかなぁ。兄はあの泣きそうな顔で青い空、見上げて。何か、解放されて欲しかったな。と思う。
全体的に『動く絵画』のような印象を受ける映画。特に風景はダリとかそんな感じで非常に好み。空からのパンで始まり、空へのパンで終わるのもキレイ。期待以上に好きなタイプの映画で満足でしたよ。

●●●
云うまでもないっすね月間賞は『スピリッツ・オブ・ジ・エア』。
とても愛らしく切ない映画でした。
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