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2021年06月04日19:44

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プロDD・M 〜その190

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

 俺達は一斉にオルカーの残骸に飛び乗った。
 それをそりのようにして、勢いをつけて斜面を滑る。
 待ち受けるはナギヒコ。
「ナギヒコ一刀流に伝わる宝剣。凪彦流残岩剣。この世に斬れぬものなし」
「うおおおおおおおおおお!!」
「斬る…………!!」
 俺達に退路はない。防御を固める?いや、違うね。
「六花流氷結術・水蒸」
 リザルトが唱えると、付近が白く視界をふさいでいった。
「目くらましとは……小賢しい!!」
 これでこちらの居場所はわかるまい。
「甘いっちゃ。マルス」
「………!?」
「心眼。感じるっちゃ。そこにいる。強い生命エネルギーを……!!」
 ナギヒコは刀を振るったのだろう。だが、それが俺達に当たることはなかった。
 なぜなら……。
「な、なんや、ユキさん、わしのこと好きなんか?」
「……」
 ユキは無言で、モンダを蹴り飛ばした。
 そこに、ナギヒコの刀が襲い掛かる。
「ぷげろっぱー!」
 モンダの首が落ちる音が聞こえた。
 そして、俺達はナギヒコの横を突破したのだった。
「不覚………。斬る価値すらないものを斬ってしまった。修業が足りぬな……」
 反省するナギヒコを置いて、俺達のそりはどんどん加速していく。
「待って!マルス、あそこ出っ張りが!」
 ユキが叫んだ。あ、あ、ああああああああ!
「うわあああああああああああああああああ!!」
 俺達はオルカーの残骸ごと空へと放り出された。


「ついにたどり着いた。ヒロマル……」
 トアピは皇帝の居城を見ていた。想像より幾らか寂れて見えた。あそこに、スズハラ、いや、ヒロマルがいるのだろう。自然と拳に力が入っていた。
「アッキー殿の南下が遅れている様子、いかがいたしますか」
「これ以上は待てない。ショウが戻り次第、全軍で出る」
 ユウチャンの問に、トアピは力強く答えた。
 その言葉にユウチャンも、はっきりと頷く。
「首領!戻りました!」
「ご苦労」
 帝都内の偵察から戻ってきたショウが、トアピに声をかけると、彼女の表情が変わった。
「皆の者!いくぞおおおおおおおお!!」
「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


「首領トアピ…前に見た時はまだまだ子供だと思っていたけれど…。この短期間でここまで檸檬地方をまとめあげるとは。一体彼女を突き動かすものは何なの…」
「モミジ様、迎撃の準備が整いました」
「ありがとう」
「はっ!」
 伝令の兵を見送ると、モミジは、皇帝の間へと向かった。
「どうしたでおじゃるか」
「ヒロマル殿、陛下は何処へ」
「今、お休みになっているでおじゃる」
「……この決戦時に、陛下の姿が見えないのでは!」
「モミジよ…麻呂は陛下の代理、麻呂の言葉はいわば陛下のお言葉であるぞよ」
「くっ…これ以上は話をしても仕方がないようね」
「ほほほ。わかればよろしい」
「では通させてもらう!」
「な、なにをするでおじゃる!乱心したか!モミジ!」
 モミジが奥の間へ入ろうとすると、そこに横槍が入った。
「邪魔をするのですか?ダイ騎士団長」
「今は内輪で争っている時ではない。その話は戦いが終わった後でよかろう」
「………」
「わかってくれ、モミジ」
「ダイ殿がそういうなら、ここは一旦引きましょう。では行ってまいります」
 モミジは踵を返すと、戦場へと向かった。


「アッキー、続々と帝都に猛者が集結しているが、俺らはまだ行かなくていいのか?」
「ふ、ふふふふふ。たまたまだ。たまたま、行軍が遅れているというだけなんだよ、ソバシ。そこのところ、忘れないようにしてくれないとね」
「お、おう……」
 今、前回の呪い大戦以来、最大の戦争が前哨戦を終え、本戦が始まろうとしていた。
 最後に立っていられるのは、誰なのか、どの勢力なのか。
 そして、マルスの運命は…………!

 第7部 四天王 VS 四天王 完

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