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2021年06月04日00:56

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プロDD・M 〜その188

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「起きた?カリスマ」
「………う、うう……はっ!」
 僕はあたりを警戒して見まわした。そこにはコモモが1人座っていた。
「気が付いたみたいね」
「ここは、どこだ?僕はモンダにやられて…くっ…不覚、あんな奴に」
「カリスマ、あなたに伝えなきゃいけないことがあるの」
「何?」
「林檎地方は、アネンゴ達の手に落ちた」
「それがどうしたというのだ?」
「私もあなたも追われる身よ」
「何?」
「サエカピを始末したのも奴らの策謀なの。それに利用されたレインゴも消された。あなたを使ってね。あなたも私も騙されていたのよ」
「………直には信じられん。と言いたいところだが、僕を背後から襲ったモンダの事もある。信じるしかないようだな」
「ねぇ、カリスマ。鮫地方へ戻りましょう。あそこへ行けばあなたの地盤が残っているはずよ。そこで再起を図りましょう」
 それもそうだな、と思った。僕は頷くと、コモモを連れて、鮫地方へ戻ることにした。
「このまま戻るとするか、懐かしき鮫地方」
 はたして僕の領地はどうなっているのだろうか。
 あのヨシピ…奴も必ず仕留めなければならない。もともと戻るつもりではあったのだ。
 新しい女を得た。これはこれで僥倖だ。僕はカリスマ。呪い大陸一のプレイボーイ。

 暗闇の中、姿は見えない。だが、コモモを呼びかける男の声がした。
「コモモ、行くのか、鮫地方へ」
「ええ、思いのほか、簡単に信じたわ。モンダの馬鹿が余計なことをしてくれて助かった。あとで感謝の印に首でも飛ばしてあげようかしら」
「ふっ、そういえば、そのモンダも行方不明だ。少なくとももう林檎地方にはいない」
「あんな小物、どうなろうと知ったことではないわ。それより我々は影で動く。今、こうして表立ったのだ、もう後退は許されない」
「もうすぐあのお方も到着なされる。期待に応えられるようお互い尽力せねばな」
「では、これにて」
「最後に聞いていいか。なぜカリスマを選んだのだ?」
 コモモは真面目な顔をして答えた。
「たいていの人間は悪に対して箍がある。だが、奴にはそれがない。外れているんだよ。奴は人を殺そうと、神を滅ぼそうと、何も感じちゃいない」
「………」
「それがかっこいいと思っているんでしょ」
「あまりに危険ではないのか」
「安心して。私がうまく手綱を握るから。そして、屑には相応の報いを受けさせる。私たちの思うように利用した後に、ね」
「ふふ、どっちが悪党なんだか」
「この計画に手を貸した時から、既に人の心は捨てたわ。あなたもそうでしょう……ケイピー」
「ああ、そうだな」
 そして、2つの気配は、すっとその場から消えた。


 アネンゴは俺の前に仁王立ちしている。そう、構えもない、警戒もしていない。アネンゴにとって人間を潰すことは、象が蟻を踏みつぶすように他愛のないことだ。
「コウヘインゴ…殺したはずのお前がどうしてここにいるのかは知らないが、私にとっては大差ないぞ。せっかく拾った命を無意味に散らそうとする。愚かな男だ」
「抜かせ。お前の拳は既に見切った」
「面白い。ならば、試してみるか。私は女神の胎より再誕したのだ。かつての私ですらもはや足元には及ばぬ」
「御託はいい、来いよ」
 アネンゴは無造作に拳を突き出した。だが、これがアネンゴの攻撃だ。こざかしい技術など奴には必要ない。己が純粋な力のみで相手をねじ伏せる。
 だがな。
「生まれ変わったのは、お前だけじゃないさ」
「何?」
 俺はアネンゴの拳で起こった衝撃派の中を突っ切り、足下に潜り込んでから顎にアッパーを入れた。
「ぐはっ」
「伊達にあの世はみてねぇぜ!」
 アネンゴは驚いたようにやや後退した。
「なぜだ!そもそも貴様は林檎の祝福を受けているはず。林檎の女神の子たる神性を持つ私にはその攻撃は一切通じぬはずだ!」
「お前はまだ本当のDDを知らない」
 俺はやれやれと言った表情をした後、虚をつき一気に間合いを詰めると、連撃を加えた。
「めめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめめ!!!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「月はいつでもそこにいる」
「こ、このアネンゴが……膝を!」
 今宵は満月、月の女神の力が最大に発揮される時だ。


「コウヘインゴ…お前の分まで俺達は…」
 もう帰らないであろうコウヘインゴを俺達は思いながら、オルカーを走らせていた。
 これ以上、何も起こらないでくれ…!
 しかし、その願いも虚しく、俺は危機を察知した。
「みんな!飛び降りろ!!」
「え!!?」
 俺達は両サイドのドアから車外へと一斉に飛び降りた。そのまま止まらないオルカーは前進したが、突如綺麗に真っ二つに割れ、それぞれがコントロールを失い、近くへ転倒した。
「な、なんだぁ〜?何しやがった?」
 砂埃が消え、視界が良好となったそこには、1人の女が立っていた。
「またつまらぬものを斬ってしまったっちゃ」
「……ナギヒコ!!?」



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