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2021年04月29日11:03

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プロDD・M 〜その168

※この物語はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。

「「「「「「「「「「「DDパンチ!!!!!!!」」」」」」」」」」」
「ぐわああああああああ!!」
 並行世界からやってきた無数の俺がターロックを攻撃した。DDは多くの宇宙に同時に存在する。DDの数だけ世界は存在するのだ。
 追い詰められたターロックは、よろよろしながら、後退していく。
 さすがは皇帝にまでなった男だ。なんというタフさ。しかし、もう虫の息だ。
 こうなっては逃げることも出来ず、戦うことも出来ず、ただとどめを刺されるのを待つだけ、哀れな男だ。
「はぁ……はぁ……これがDDってわけか……単推しのワシには、わからない世界だな……もう動けないし、こんなに大勢に囲まれたんじゃ…ワシの命運も尽きたか……」
「ターロック……昔のよしみだ。何か言い残すことはあるか」
「フン、ワシに情けをかけるか……。お前を裏切ったこのワシに」
「DDの愛は深いのさ。何しろ、普通の人間より多くの女神に注がなきゃいけないんだから」
 その言葉を聞くと、ターロックは何か諦めたように、スイッチを押した。
 すると、闘技場全体が上へと登っていった。
「何をした!」
「騒ぐことじゃない。どうせ逃げられはせぬ」
「聞くか?ワシの懺悔を」
「ああ。その為に来たんだ」


 ワシはあの日、鳥の女神様に魅せられた。そして、鳥の女神様を手に入れるため、ありとあらゆる手段を用い、鳥地方を征服した。
 あの日以来、ワシは鳥の女神様の声が聞こえるようになっていた。ワシは選ばれた人間だと思った。
 お前を排除したあの後……ワシは女神様に与えうる全てを与え続けた…そして幾度となく略奪と殺戮をくりかえした…。
「ワシにマルスと同じ生き方をしろというのか!できんな」
 しかし、女神様はワシの前に姿を現すことはなかった。そうなのだ。そもそも女神が降臨するなど稀なのだ。
 だが、ワシは、女神を強制的に降臨させる術を知った。それが女神降ろし……!
「言ったはずだ!ワシはワシ流のやり方でやるとな!人間には誰しも欲望というものがある!」
 ワシはさらなる領地拡大を続け、次々と優秀な人材を配下に引き入れた。
「見ていろ、こんなケチなものではない!おまえに町をプレゼントしよう。いや!町だけではない。いずれは国をもだ。お前は女王だ!」
 ワシはとにかく女神様の為に尽くした。来たるべき日に、鳥の軍勢が大陸を支配できるように準備を進めたのだ。
「お前を女王にしてみせる。全ての人間がおまえの前でひれ伏す!そうすればお前も変わる。絶対にな」
 しかし、女神様は、決してワシの行いを認めようとはしなかった。穏健派だったのだ……。
 だが、ワシは止まらなかった。正しいと信じたことをやるだけだった。
 ワシは走った!しゃにむに走った!!ワシの前に組織は膨れ上がり、ワシは不動の権力を手に入れた!そして――
「見ろ。おまえの国、神聖ターロック帝国だ。この国のすべての物、草も木も人間すらも 全ておまえのものなんだ。何も考えなくていい。全てがお前の意志のままに動くんだ。こんな夢のような生活が他にあるか」
 次第に、女神様の声が聞こえなくなっていった。そして、ついに……。
「どうだ。少しは気が変わっただろう…な…なにを!バカな!な……なぜ!!」
 聞こえていたはずの声は聞こえなくなった。
 泣いた…生まれて初めてワシは泣いた。最後まで……とうとう最後まで女神様の心を掴むことができなかった……。
 ……女神様の中にはいつでもみんながいたからだ。


 ターロックは、激しく心を燃やしていた。俺には奴の執念が伝わってきた。
「こんな帝国も富も名声も権力も…空しいだけだった。ワシが欲しかったものはたったひとつ。……んだ!!」
 ついに、禁忌とされる女神の真名を言ったターロックは、肉体の崩壊が始まった。
「ターロック、お前………本当に女神様のことを………」
「フッ……ワシはここまでだ。マルスよ。ワシは、女神様の降臨を諦めなかった。そして、見つけた女神降ろしの秘術……それには、適正のある女が必要だった……」
「適正のある女?」
「そうだ。そして、ワシはその女を見つけ、配下とし、来たるべき時を待った。それがスズハラだ!」
「スズハラ………」
「女神降ろしには自我の崩壊、残った器が必要だった。だが、ワシのタイミングより早くショーヘーが林檎地方の刺客によって殺され、女神降ろしは失敗した……。この絵図を描いた奴がいる……」
「そいつを俺に探せと言うんだな、ターロック…」
「ああ。全てを知りたくば、神聖スズハラ帝国へ向かえ!!」
 そう言うと、ターロックは血を吐いた。そして、その偉大な皇帝は、そのまま歩き出し、地面へと飛び降りたのだった。
「待て!ターロック!!」
「ワシはおまえの拳法では死なん!!ワシは!さらばだ、マルス」

 俺はターロックの亡骸を抱えると、墓へと葬ろうとした。
 背後から、男の声が聞こえた。
「意外だね。君達は因縁浅からぬ仲だと思っていたんだけど」
「アッキーか…フッ…」
「その男にそこまでしてやる価値はあるのかい?」
「同じ女神を愛した男だから……」




「マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。マルス。許さない。許さない。よくも、よくも、よくも……パパを!!!!!」

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