キム・ニューマン「ドラキュラのチャチャチャ」アトリエサード

１９５９年のローマを舞台にドラキュラの結婚式に様様な國々から敵味方大勢が集いその顛末が描かれる。虚実ない混ぜの個性豊かな人物達が爭い合ったり旧交を温め合ったりするノンストップ・エンターテイメント。
本作でも作者創造のジェヌヴィエーヴは健在。邦訳ではウォーハンマー・ノベルのドラッケンフェルズ三部作やアンソロジー「インスマス年代記」収録の「大物」にも登場している。
前作に続きハーバート・ウェストも一場面だけ出ているが、屍體蘇生を可能にする迄は至っていない樣子。
１９６８年を舞台にした中篇「アクエリアス」も収録。前卷に収録されていた「ヴァンパイア・ロマンス」にも出ていた日本人の少女吸血鬼が本作でも活躍している。「ねずみ」のコードネームでのみ呼ばれているが、モデルは「BLOOD」シリーズのヒロインだろう。テレビシリーズも含め三作在りそれぞれに接点はなく設定や世界観も異なるが、小夜と云う少女吸血鬼が日本刀を揮って異形のものと戰うと云うコンセプトは共通している。第一作目は劇場公開でタランティーノもファンであると云い、歴代小夜のうち寡黙なヒロインであるので、この一作目の小夜がモデルではないだろうか。