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2020年12月30日01:15

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pray

前回の続きで、赤い公園の最新シングルのもう1曲「pray」について。
まずは歌い出しの歌詞。

逆毛の街に 風が吹く
ひと撫でしたなら もうじき花が咲くだろう

……「逆毛の街」って、どういうイメージなのだろう?
その後に「花が咲くだろう」とあるから、逆毛のように草が生い茂っている街、ということだろうか。
このへんは津野米咲ならではの言葉のセンスということでいいのか。

歌詞全体としては、旅立つ人へのエールといった感じなのだが、「オレンジ」と続けて聴くと、「オレンジ」の主人公が別れる恋人を見送る光景のような気もしないではないが、それはさすがに穿ち過ぎか。
でも、「君が好き」という歌詞はけっこう強く響いてくるので、恋愛感情的な想いがそこにあるのは確かだろう。
その上で、愛する人の旅が美しくあれ、と祈る気持ちが歌われている、という解釈でいいのだろうか。

――と、ここではたと気づいた。
この曲はドラマの主題歌だった。
正確にはエンディング・テーマだが、ドラマの内容と何かしら照応
しているのかもしれない。

しかし、そうであったとしても、津野米咲が亡くなってしまった今、この歌詞は別の意味合いを帯びて聴こえてくる。
石野理子たち3人が、津野米咲に向けて歌っているように聴こえてしまう。
まるで津野米咲への鎮魂歌のように。
「それじゃまたね」というフレーズが、本当に切ない。
まあ、ちょっと感傷的過ぎる解釈だとは思うけれど。

そしてもう1つこの曲を聴いて思ったのは、Jポップとの親和性が高いということ。
Jポップとして普通に聴けてしまう感じ、といった方がいいか。

デビュー時は、オルタナティヴ・ロックを志向していた赤い公園だが、徐々にポップス志向が強まり、Jポップ風の曲も増えていった。
それでもオルタナティブ・ロック色は消えることなく、Jポップ色とのブレンドがさまざまに試みられてきた。

いわばオルタナティヴ・ロックとJポップの両立が、赤い公園の目指すところであったように思う。
エッジのあるバンドサウンドとポップな歌を同時に聴かせる、みたいな。
こう書くと、別段珍しいことでもないような感じもあるが、Jポップは徹底して歌を聴かせる音楽であって、演奏は歌の引き立て役に徹すべし、という不文律(?)がある。
逆にいうと、その不文律に従わなかったから、赤い公園は売れなかったのかもしれない。

でも、この「pray」は、いい感じでJポップ然としていて、控えめながらバンドサウンドもしっかり決まっていて、実にいいブレンド具合だと思う。
これなら売れるかも、みたいな。
だからここで終わらせてしまうのはもったいなさすぎる。

結局、どう転んでも、最後は感傷的なものいいになってしまうな。

では、「pray」を聴いてください。


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