赤い公園の最新シングル「オレンジ/pray」。
残念ながら、これが津野米咲の遺作となってしまった。
曲を聴くと、どうしてもそのことがやりきれなくて、しんどい気持ちになる。
だって、ここには「未来」しか感じられない。
バンドはいい状態で、いい曲が出来ていて、その先にはさらなる音楽的可能性を感じさせて――なのに、「未来」は断ち切られてしまった。
……いかんな、どうしてもネガティブな方向へ行ってしまう。
――で、まずは「オレンジ」について。
軽やかなギター・ポップ・チューンといった感じがありつつも、歌詞をよく聴くと、これが別れの歌。
ただの偶然だとは思うが、何でこのタイミングで別れの歌がくるかなあ。
まあ、ぐちぐちいってもしょうがない。
タイトルの「オレンジ」は夕日を意味し、夕日は別れのメタファーであり、歌の主人公自身の映し鏡として描写されている。
にじんだオレンジ どうか振り返らないで
にじむなオレンジ 笑ってみせろ
――といった悲しみの表現は実に上手いし、切ない。
さらに最後には、
にじんたオレンジ 振り返らないで
沈んだオレンジ 振り返ってよ
――というととどめのフレーズが来て、どうしようもなくたまらない気持ちになる。
この「オレンジ」にどうしても津野米咲がだぶってしまう。
――まあ、そういう感傷は抜きにして、切ない歌詞とエモーショナルなメロディーと歌、さらにシェイプ・アップされた感のあるバンドサウンドが一体となって、最高の曲に仕上がっていると思う。
赤い公園史上、最長のギターソロがポイントらしいが、これで最長かよ、と突っ込みを入れたくなるものの、カッコいいソロが聴ける。
津野米咲のギターも、もっと評価されてしかるべきだと思う。
もう聴けないけどね。
……やっぱりどうしても湿っぽい方向へ行ってしまいそうになるなあ。
もう1曲の「pray」についてはまた改めて書こうと思います。
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