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2020年09月29日00:05

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日曜は……

 日曜は、川崎で映画3本。

 まず1本目は、109シネマズ川崎で、
 「鵞鳥湖の夜」。
 これは、「薄氷の殺人」のディアオ・イーナン監督の新作。
 主演は、「1911」のフー・ゴー。ヒロインを「薄氷の殺人」でもディアオ・イーナン監督と組んだグイ・ルンメイが演じている。

 2012年、中国の再開発から取り残された街で、刑務所から出所後、古巣であるバイク窃盗団に戻ったチョウは、対立する猫目・猫耳兄弟たちとのトラブルに巻き込まれ、誤って警官を射殺して、全国指名手配される。
 追い詰められたチョウは、自分に懸けられた報奨金 30 万元を妻と幼い息子に残そうと画策するが、待ち合わせ場所に現われたのは、妻の代理だと言うアイアイという見知らぬ女だった。彼女は寂れたリゾート地の鵞鳥湖で水浴嬢――水辺の娼婦をしていた。
 チョウは、警察や報奨金の強奪を狙う窃盗団に行く手を阻まれ、袋小路に迷い込んで……
 
 本作も「薄氷の殺人」同様、中国の陰の部分に蠢く人間模様に着目した人間ドラマ。
 現代の中国が見せようとしない陰の部分を上手く使い、“中華ノワール”とも言える世界観を見せているのはさすがだが、語り口は「薄氷の殺人」よりも更に寡黙に、不親切になり、登場人物の誰がなにやら判らない有様……汗の匂いが漂うような情交シーンとも相まって、ATGのアートフィルムのような趣もある。行き場のない男と、娼婦の一時の係わりと言う物語もそれらしい。

 ヒロインのアイアイを演じたグイ・ルンメイは「薄氷の殺人」の時よりも薄幸にかつ貧相に……勿論、それも様になるのだが、でも、そんな彼女を見たいのではないのだがなぁ……
 ただ、昼の空に上がった花火のように目立たず消える存在ではなく、最後、強かに生きて行く予感を見せる辺りが、現代らしさか。


 2本目は、チネチッタで、
 「甘いお酒でうがい」。
 これは、お笑いコンビ・シソンヌのじろうが長年演じてきたキャラクター・川嶋佳子の日記という設定で書かれた同題小説を映画化したもの。
 主演は松雪泰子、共演は黒木華、清水尋也。監督は、「勝手にふるえてろ」の大九明子。

 とある会社で働くアラフィフOLの川嶋佳子。彼女は誰に見せる訳でもない、自分で見返す事もない日記をつけていた。
 撤去された自転車との再会を喜び、変化を求めて逆方向の電車に乗り、給料日には会社の同僚・若林ちゃんと飲みに行く。そんな何気ない日常を綴っていた佳子だが、変化を待ち望んでいた。
 それはある日、突然訪れた。若林ちゃんの後輩で、ふた周りも年下の岡本くんとの恋が始まったのだ……

 この映画だが、架空のOLの日記と言う設定のエッセイ、それをそのまま映画にどうするのか、と言う感じ。
 松雪泰子に黒木華はさすがに上手く、中年男の妄想日記の人物に、きっちり存在感を出してはいるが、日記として書かれた短いエピソードを、そのまま映像化しても、正直、気持ちの入りようがない。
 30分も経たずにドラマが動き出さない事に退屈し、途中で時計を見て、「まだ1時間ある」と絶望してしまった……
 やはり、映画にはドラマが必要、元が日記とは言え、そこは脚色して、ドラマが欲しかった所だ。

 中盤以降は、岡本くんが登場してもドラマは動き出さず……そもそも、最近まで学生役も多かった清水尋也は、松雪泰子と並んでいても到底、恋人には見えない。下手すると母と息子の絵面だ。
 そもそも、アラフィフが、二回りも年下の異性と恋愛関係になるなんてのは……確かに、アラフィフには希望かも知れないけど、客観的に見たら、どうなんだろう、それは……

 あと、本作は昨年撮影されており、映画のせいでもないのだけど、映画中、2020年に4月に会社へ出勤、9月に誰もマスクをつけていない、と言うのに違和感を覚えてしまった。

 大九明子監督も、これはさすがにハズしたのではないだろうか?
 
 
 3本目もチネチッタで、
 「ウルフズ・コール」。
 これは、フランスのセザール賞で3部門にノミネートされた、潜水艦が舞台のアクションサスペンス。
 主演は、フランソワ・シヴィル。共演に「スペシャルズ」のレダ・カティブ、「最強のふたり」のオマール・シー。

 シャンテレッドは、人並み外れた聴覚を生かし、フランス軍の潜水艦・チタン号で音響分析官として任務につき、艦長からは“黄金の耳”と呼ばれて信頼されていた。
 だが、シリア沿岸での極秘任務中、怪しげな音の識別に失敗。艦を危機に追い込むばかりか、政治的危機までも招いてしまう。
 彼の耳を惑わせたのは何か……任務を解かれたシャンテレッドは、密かに分析を進めるが……

 フランス海軍は、規模こそ小さいながら、原子力空母から戦略核原潜まで保有し、独自の防衛戦略を持っている。
 この映画が描く危機は、そんなフランスの体制を逆手に取り、フランスにロシアを核攻撃させて、西欧社会を自滅させるテロリズム。
 これは、可能性としてあり得るもので、こうした説得力のある危機の演出はさすがで、この点に関してはへっぽこ戦争映画の「空母いぶき」とはレベルが違うと言っていい。

 だが、そんな設定以外の物語、そして、肝心の潜水艦アクションはリアリズムもなにもないぐだぐだっぷりで、戦闘シーンのリアリズム欠如、軍隊描写のおかしさは、「空母いぶき」並になってしまう……
 核戦争の危機が迫っているのに、海軍大将がまだ「話し合いを」とか言っているのには失笑させられるし、呆れるのは主人公、シャンテレッドの能力は、後半、まるで活かされていない。
 日本語字幕の酷さも特筆もので、フランス語のヒアリングはさすがに出来ないが、物語がどうにも判らないのは、この意味不明な字幕のせいだろう、と言うのは推察出来る。実際、「爆雷」と言うべきシーンで「ソナー」と言ったら、そりゃ意味不明にもなる。

 「空母いぶき」と比べ、フランス海軍の協力は得られているので、艦艇や潜水艦内の様子など、実物の迫力や、興味深いシーンもあるのだが、ここまで物語が酷くてはどうにもならない。
 

 しかし、この週末は……映画6本を観たけど、ハズレも多かった。
 せいぜい、1勝1分け4敗、と言う所か……
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