[あらすじ] 母87歳パーキンソン病ヤール4要介護5認知症状少々、
6月末に特別養護老人ホームに入居。
飼い犬ジーロくん去勢オス慢性腎不全癲癇の既往有り、
8月24日に15歳1ヶ月で息を引き取る。
2ヶ月の間、しっかりと犬の最期をみてやることができた。
最後の頃は、家の周辺ほんの数十メートルの範囲を
とぼとぼと歩いたり立ち止まったりして、
オシッコを1、2回して、うまくいけばウンチを済ませるのが、
散歩だった。
人間の歩数にして、せいぜい700歩というところ。
かと言って、いつ目を覚まして、起きられなかったり、
ウンチに尻餅をついたりするか分からないので、
犬を家に置いて自分だけ散歩しに行くわけにもいかない。
私はひどく運動不足になった。
※
犬が死んで数日は、何をしていいか分からなかった。
朝起きたらすぐに自分の用便を済ませ、急いで身支度をして、
犬が目を覚ましたらまず外に出してやった。
起きたらすぐにオシッコしたいもんね。
その必要も無い。
昼間はいつ外出しても良い。というのがなかなか分からない。
ゆっくり品物を選んで買い物してもいい、
友達と会ったら時間を忘れて立ち話をしてもいい、
何か思い付いたら寄り道していい、
ドリンクバーを注文して居座ってもいい。
急いで帰らないと、待っている犬がいる、ということは、無い。
部屋の扉を急に開けても大丈夫だし、
缶ビールを勢い良く開けて「カシュッ!」と音を立てたり、
納豆のパックを「パキッ!」と割っても、
プラスチックの緩衝材を「パンパンパンパン!」と破っても、
ビクつく犬は、いない。
※
朝、自分の散歩を再開した。
トイレットペーパーやポリ袋は準備しないでいい。
私は外でウンチをしない(はずだ)から。
麦茶をペットボトルに入れて、スマホを持って、家を出る。
※
近過ぎる特養へは、まっつぐ歩いて25分だった。
5時を回ったばかりである。
夜勤の人がいるとは言え、持って来た手紙などは、
郵便受けに入れた。
※
差し入れとして、犬ジーロの写真のアルバムを持って行った。
特養に入居するまでの2年半、母は訪問介護のお世話になった。
何人もの介護士さんやヘルパーさんが来てくれたが、
そのうちの一人が、犬の写真をスマホでたくさん撮っていた。
それをある時、アルバムにしてくれたのだ。
写真には、小さなシールが貼り散りばめられ、
その人の人生訓のようなメッセージが書き込まれている。
犬を見るその人の視線を感じられる、良い写真だ。
犬も、安心して寝姿をさらしている。
「ジーロくんにベロチューされちゃいました!」
と、ずいぶん早い時期に言っていたっけ。
かなり好きだったようだ。
そのアルバムを、特養の母に届けた。
見られなくなるのは残念なので、
一枚一枚を取り出して、写真の写真を撮った。
※
読者の皆さまにも、おすそわけ。
これが、ジーロくんアルバム。
https://blog.goo.ne.jp/photo/438561/sl
ログインしてコメントを確認・投稿する