病院の窮状 | Neltoku小児科学〜小児科ママのブログ〜
報道でご存じだとは思いますが、コロナを受け入れるにあたっては、通常の倍以上の人手がいります。重症ならもちろんもっともっと人手が要り、医療費もかかりますが、軽症であってもそれなりにかかります。
病院では、大抵は「肺炎」や「呼吸不全」という大まかな病状によって、国からもらえる保険診療費が決まっています。コロナであっても、医療費が高額になればなるほど、病院で持ち出しになる検査や処置が多くなり、3倍の報酬がもらえたとしても完全に足が出てしまいます。
そのうえ、コロナ患者を受け入れるためには、ある程度の病床を常に空けておかねばならず、本来はそのベッドを使ってできた手術もできず(手術関連の収入は病院の主な収入源です)、しかも経路確保のためその周辺も空けておかねばならないこともあります。増えてきたときのことを想定し、コロナ病棟を作ったのに、患者さんの数には波があるので患者は数人しか入っていない、という状況もあったりします。
でも、準備は必要です。うちの病院では基本的に軽症者しか受け入れていませんが、それでもたくさんのことを整備したり、慣れない診療をしてみんな神経をすり減らしています。
さらに、「あそこはコロナを受け入れている」という噂が立てば、雲の子を散らすように外来からも人がいなくなり、手術どころか、外来の収入も絶たれ、3月から6月までは本当に外来患者が少ない時期が続きました。
外来患者さんが減ると、そこからの入院患者さんも減り、通常空床率10%以内におさめなければ利益が出ないのに、まだ完全に元に戻らないまま、空床20%以上のまま、次の波到来です。
「病院に来なくていいのはいいことだ」と綺麗ごとを並べられるのは勤務医だけで、病院としてはたまったものではありません。人件費は変わりなく出ていきますし、感染対策用の費用もかさみます。
私の病院の職員も、夏のボーナスはあったけど、冬は正直ないかも、という噂です。
感染のリスクと闘いながら日々勤務し、差別も受けながら、通常の対価すら払われないのならば、もう頑張れない、という人が出てくるのは必然だと思います。
コロナを受け入れていない病院や診療所でも、誤爆のような形で患者さんが通っていたと後から判明する場合もありますし、診療所やクリニックはそれこそ数を診てなんぼなので、自粛で外来患者が2-3割減っただけでも大打撃でしょう。現実、クリニックをたたむところも増えてきているようです。
国からはコロナ受け入れ病院になんぼか補助が出ると聞いていますが、うちの病院でもそれだけでは赤字は全く補てんできないそうで、これがこの先何か月、下手したら数年続くと、確実に経営破たんします。
経済が冷え込めば銀行からの融資も期待できなくなりますし、ますます破綻が近づきます。本当に職を失う日が来るのかも。。と思ったりします。
小児科は特に外来患者さん激減したし、もとより赤字部門なんでとっても肩身が狭い。。。
医療崩壊はこんなところからも迫っています。
生き残れるのは大病院と、その周りの人が集まる一部のクリニックだけ。その他はもう今にも倒れそうです。
頼むから政府さん、お金の使いどころ、そしてスピード感を間違わないでほしいです。
病院がなくなったら、コロナは一体誰が診るんでしょうか。
https://ameblo.jp/neltoku/entry-12610723577.html
ログインしてコメントを確認・投稿する