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2020年07月06日00:19

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土曜は……

 土曜は、午前中にかかりつけのクリニックに行き、その後水槽の水替え。
 午後は映画。

 まず、1本目はTOHOシネマズ川崎で、
 「カセットテープ・ダイアリーズ」。
 これは、英国のジャーナリスト、サルフラズ・マンズールの回顧録を映画化した青春音楽ドラマ。
 監督は、「ベッカムに恋して」のグリンダ・チャーダ。

 1987年、イギリスの田舎町ルートン。16歳のパキスタン系の少年ジャベドは、保守的な町の人からの移民への偏見や、パキスタン家庭の伝統やルールに、鬱屈を募らせていた。特に、古い慣習を振りかざす父のマリクには強い反発を感じていた。
 ハイスクールに進学したジャベドは、シーク教徒のルーブスと出会い、ブルース・スプリングスティーンのカセットテープを貸して貰う。
 「ブルース・・スプリングスティーンなんて、アメリカ賛美の右派の音楽だろう」と否定的なジャベドだったが、嵐の夜、あらためて聴いたブルース・スプリングスティーンの音楽は、彼に雷に打たれたような衝撃を与え、ジャベドの世界変えてしまう……

 ブルース・スプリングスティーンと言えば、アメリカのロックンローラーで、代表曲「Born in the USA」も、アメリカ賛歌のように受け止められ、一見、右派のイメージではあるものの、この曲自体、「アメリカに生まれて、ベトナムにも行って戦ったのに、オレは貧乏で仕事もない。どうしたらいいんだ?」と言う歌詞で、よくもまぁ、「強いアメリカ」を謳うレーガンがこれを選挙戦で使っていた、と思うほど。(実際、ブルース・スプリングスティーン本人が「そう言う歌じゃないから使うな」と言ったのだが)
 
 ブルース・スプリングスティーンが歌うのは、社会の底辺で、行き場のない気持ちを抱える若者たちの歌で、だからこそ、パキスタン系移民で、差別と貧困に悩むジャベドの心を打ってしまう。
 「Dancing in the Dark」を嵐の夜に聴くシーンは、その演出もあって、正に歌の力がジャベドの心を打つ様子がビンビン伝わって来る。

 まぁ、サルフラズ・マンズールと言う人は、本当にこれで人生変わってジャーナリストになってしまった人なので、この辺りは本当にリアルなのだろう、と思う。
 映画は、青春映画の体をとっていて、そんな人生の転機だけでなく、初めての恋も描かれている。マーケットでのミュージカル的なダンスシーンや、若者のエネルギーが爆発するようなシーンもあり、ブルース・スプリングスティーンの楽曲によるミュージカル映画、と言う麺もある。
 
 最後にはブルース・スプリングスティーンの主張である「全ての人が勝たない限り、誰も勝ちとは言えないんだ」と言う想いに
気づき、「この町を捨てる」のではなく、家族も、みんなも幸せにする、と言う感動の結末。
 もう、真っ当過ぎる程真っ当な青春映画ですが、これはよかった。

PS
 サルフラズ・マンズールはブルース・スプリングスティーンのコンサートに150回以上行ったと言う有名なファンで、その著書が映画化される事を知ったブルース・スプリングスティーンは、「彼の希望なら」と、全ての楽曲の使用を快諾した、と言うのもさすが。

 
 2本目は、
 「一度も撃ってません!」
 これは、石橋蓮司主演のハードボイルドコメディ。監督は、男臭い骨太の映画作りに定評のある阪本順治。

 作家・市川進、74歳。かつて2作の純文学小説を刊行したものの、その後、鳴かず飛ばすの売れない作家だ。そんな彼には裏の顔がある。都会の片隅でひっそりと営業するバー「Y」で、御前零二の名で、で旧友のヤメ検で、裏社会に関わりのある石田から殺しの仕事を請け負う、巷で噂の“伝説のヒットマン”だ――だが、市川は、本物のヒットマン・今西に代わり石田からの仕事を受けているだけで、一度も銃など撃った事がなかった。
 一方、市川の妻の弥生は夜な夜な外出する夫の行動を訝しみ、その行動を調べるようになって……

 これは、今や既に流行らない「ハードボイルド」を、ギャグ寸前の演出で、巧みに見せるもの。
 佐藤浩市が若造扱い、と言うベテラン俳優のそろい踏みの中、多分に遊びを含んだその演技を、映画職人である阪本順治が巧みにまとめた、と言う所か。
 面白い映画だとは思うけれど、これを楽しめるのは、やはり高年齢層だろうなぁ……


 この後、「空海」で、今日は初めて味噌を頼んでみた。エビ味噌ワンタンメン。
 フォト
 ……うーん、「空海」の味噌は正直ダメだな……
 ミニカレーも、野菜を刻み入れたキーマ風のカレーで、ラーメン屋のカレーにしちゃ凝ってるが、こちらもイマイチ。

 3本目は、横浜ブルク13に移動して、 
 「チア・アップ」。
 これは、オスカー女優、ダイアン・キートンが平均年齢72歳のチアリーディング・クラブを結成する老人に扮したドラマ。

 末期ガンで余命宣告を受けたマーサは余生をゆっくりと過ごすためシニアタウンに引っ越したものの、お節介焼きで騒々しい隣人シェリルに振り回される。
 だが、そんなシェリルに、夢をかなえるのは今からでも遅くないと焚きつけられ、マーサは、結局、舞台に立つことのなかったチアリーディングをやって見よう、と、チアリーディング・クラブを結成する。
 しかし、オーディションに集まったのは、チア未経験どころか腕が上がらない、膝が痛い、坐骨神経痛持ちなどの8人で……

 70過ぎの老女が集まって、それでもこれを「青春映画」として作ってしまうのが大胆不敵。
 仲間集めに始まり、惨敗と挫折、カミングアウトがあって一団となって特訓をし、最後の大舞台へ、と言うスポ根・青春もののフォーマットをそのまま踏襲している……まぁ、シェリルの孫息子と、彼の通う高校のチアリーダーに、青春モノならではの成長とロマンスを分担させるなどの工夫はあるのですが。
 
 ダイアン・キートンは、さすがに歳をとったなぁ……とは思うものの、年齢を感じさせないスタイルはさすが。
 共演は、「アニマル・キングダム」のジャッキー・ウイーヴァーに、「ジャッキー・ブラウン」のパム・グリア。それにしても、パム・グリアは既に70を過ぎているのにまだまだセクシーなのは、かつてのセックス・シンボルの面目躍如、だろうか。

 ラストのステージはちょっと盛り上がり過ぎ。
 でもまぁ、「青春」と言うのが年齢ではなく、心の持ちようであるのが判る映画だ。 

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