名前は知っていたが、いつの�里砲�見附け辛くなっていた作品で、昨年、新訳が出たと云う事で漸く読んだ。
二部構成で、第一部はモロイと云う自分の名以外は、様々な記憶や意識が曖昧な老人の彷徨を描く。
自転車に乘っていてある女性の連れていた犬を跳ねて死なせた事から、自分の素性や何所へ行こうとしていたのかもあやふやなモロイと名乘る老人は、女性の元に居候し、しかしやがて再びそこを出て放浪して行く。全てが曖昧模糊として不条理。
第二部は、そのモロイの所へ行こうとしているモランと云う男が息子を連れて旅立つ話で、モロイとモランの接点は不明。そもそもモロイの存在自体が怪しげで、第一部はモランの妄想の中身だったのではないかとも想えて來る。
或いは第一部は作者が見た夢を小説にしたものだったのかも知れない。
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