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2020年05月28日23:09

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教育と社会

現代的な子育ての本にはだいたい子供の自主性を尊重して、自発的な行動を伸ばしましょう、と書いてあります。自分が大切にされていれば、自然と協調も身についてくると言います。そういう話を聞いていたせいなのか、自分自身が反権威主義だからなのか、私自身は割とそういう子育てをしてきたと思いますし、その方が子供にとってもよいし、よりよい社会に貢献できる人間が育つと考えています。しかし、それで自分が有利になるようにふるまえるのかと言えば、必ずしもそうではありません。社会に貢献できても自分が有利にならないというと、それでは筋が通らないと思う人もいるでしょうけれど、世の中そうそう筋が通るものでもありません。

自発的でも自分勝手にならないためには、当然、他者への配慮も必要だし、時には妥協しなくてはなりません。自分が自分を大切にするのと同じ分、他者も自分を大切にすることを認めるのが大事で、しかしながら、他者を大事にしない人が世の中にはいくらでもいますし、いくら子育てのマニュアルが充実しても、きちんと理解していなければ、形式だけまねしてポイントを外してしまいます。「頭ごなしに命令するのではなく、相手が納得できるように、きちんと理由を説明して」と言われたところで、自分が納得するまで考えたことのない人に、誰かを納得させるなど簡単なことではありません。まあ、そんなときには、一緒に考えればよいだけですが、マニュアルでどうにかできると思っている人に、考えることができるかどうかも疑問です。

結局のところ、どんなに理由を探したところで、世の中の8割がたは習慣と慣習でできていますから、正解などあるはずもなく、必要でもありません。必要なのは正解ではなく、納得なのですから、「まあ、それでよいか」と思えればそれが「正解」になります。ただ、それに付き合えるのかどうかという問題はあり、世の中がそういう方向に向かっているにもかかわらず、世の中には、高圧的な態度や強制的な態度がいくらでもあり、案外、「慣れておくこと」でそれに対処できる人もかなりいる、と言うより、それが大半ではないかと思います。

いままで、「いいからやれ」で済んでいたことを、「どうしてやらなきゃいけないか、ちゃんと考えよう」とやり始めると、今度はそれについていけない子供もできててしまいます。「いいからやれ」でできない子供がいたように、「ちゃんと考えて」と言われてそれができない子供だって出てきます。結局のところ、必要なのは、適性に合わせて能力を伸ばすことであり、万能な(はずの)教育方法を一律で押し付けることではありません。ただ、その辺の個性を正確に把握する手段がない現状では、いろいろ試してみる、様々な学び方を試せるようにしておくことが大事なのかもしれません。
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