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2020年04月24日23:48

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時間と利益

代わるものがなく、もっとも価値のある資源は時間である、と経営学者ドラッカーは言いました。しかも、その資源は万人に等しく与えられています。とは言え、その時間を有効に使うための知識もノウハウも能力も万人に等しく与えられているわけではないので、結局は、時間を使って別の価値を生み出せる人間にとって代えがたく、得難い希少な資源となるのです。そう考えると、例えば「有能な執事」と言うのはその人が生み出せるはずの価値を全て犠牲にして主人の快適さを生み出しているわけですから、ものすごく贅沢なことだし、その主人が快適に仕事をすることによってよほどの価値を生み出しているのでなければ、人類にとっての損失となります。この考え方を推し進めると、「文明が進んで便利になったというけれど、なんか自分でやらなきゃいけないことが増えた気がする」と言うのは気のせいではなく、当然の結果としてそうなるのだとわかります。

世の中の生産性が上がると言うことは、もちろん技術の進歩によるところが大きいわけで、ただ、その進歩を誰が支えているかと言えば能力のある人が時間を使って技術を進歩させているのですから、技術がどんどん進歩するためには「誰かのお世話」のために使える時間はどんどん減っていきます。もちろん、世の中にはそんなことを考えずに、「安くて使い捨てられる労働力のほうがよい」と思っている人もたくさんいるでしょうけれど、そんな人ができる仕事は限られていますし、その人たちをうまく使うための人が必要です。結局、安く使い捨てるような労働力ができることを実現するための別の方法を考えたほうが社会が豊かになるのは当然で、人を優秀にして社会の富を増やす発想のない人、つまり、大抵の「偉い人」がそうであるような、人も物も安く買いたたくのが金儲けのコツと思っている人たちが景気の停滞、貧困の拡大を推し進めているのです。

お金があっても幸せにはなれない、と言っている多くの人も似たようなもので、「安く働かされても不満を持たない」「効率など不幸の元凶」と富の創造や蓄積を目の敵にして、社会が豊かになることで救われる多くの人を見捨てているのです。もちろん、人は経済活動だけで生活しているわけではありませんし、お金があっても幸せとは限らず、金儲けだけが意味のあることではないにしても、お金はあくまで交換の効率化のためのツールであり、様々な価値を必要に応じて交換することで人々が豊かになることを考えれば、金儲けのノウハウの多くが幸福を作り出すノウハウであり、それが全てでないからと言って否定してしまうのはあまりにももったいないし、愚かな話です。
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