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2020年04月19日16:49
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河内見聞記�供�15 夢はAmazonからGoiasへ（２）
詳細な記憶はほとんどないので、HDDから持ち出した数枚の写真のデータを覗くと、2004年6月12日世界遺産の歴史保存地区を散策している。連休の記憶はあるので、ブラジルの祝日を調べてみる。6月10日頃、キリスト聖体祭（Corpus Christi)がある。どうやらその年、
6月10日 サンパウロ〜Caldas Novas（温泉）まで走行
6月11日 Goias州の州都Goiania経由でGoiasまで走行、市内散策
6月12日 午前中散策、昼前にサンパウロへ出発、深夜に到着
6月13日 休日
という4連休を過ごした記憶が蘇ってきた。
その旅は、今でも覚えているが、何か記念になるようなちょっとした冒険を企てたような気がする。既に三年が経ち、立ち上がり崩壊寸前だった事業がなんとか好転し出し、心に若干余裕も出始めた頃だった。空の旅じゃない、車で長距離を走破する、広大な大地を一気に駆け抜ける。それがテーマだった。単純に１０００Kmというのが浮かび、サンパウロから北に、西に、南に（東は大西洋）目を向けると、西にはCampo Grandeが州都で南米の大水がめPantanalを擁すMato Grosso do Sul州がある。そこは既に2度経験していた。それで北方を見ると、Goias州だ。Braziliaも元はその州だったが、一度空路の旅をしていた。そして世界遺産の地、Goiasを見つけた。州都はGoianiaで都会だが、大して見るべきものもない。すんなり決まった記憶である。
元々の計画は、往復共途中で一泊を入れるものだったが、復路は一気にサンパウロまで帰り、翌日休めるように変更した。すなわち１０００Kmを一日で走破したわけだ。これが後にも先にも私の人生新記録、もう破られないだろうからあの世へも持って行く大記録に。
初日は800Kmほどの距離のCaldas Novasという温泉地に夕方到着予定で朝方8，9時の出発だったろう。実際は隣のミナス州との州境で日系移民の小説の舞台になった集落を訪ね、時間を食ってしまった。それとミナスに入ってしばらくすると高速が完成しておらず、州道になり、さらに道幅も狭まり、石畳の道が続いた。予期せぬ速度ダウンで、ライトを点ける時間になった。当時カーナビもなく、急がねば何が起こるかわからないし、トラックを追い越す際、恐怖すら感じていたのを覚えている。だがなんとか無事温泉地に着いたのだった。
翌日はGoianiaをそれでも一度見ておこうと寄り道をした。
そのときの周囲の景色は素晴らしく、今でもまざまざと蘇ってくるほどだ。州都の周りは高速が整備されており環状線を、前日との対比のせいかスイスイ走った記憶がある。GoianiaからGoiasまでは上ったり下ったりの州道をひたすら走った。記憶が正しければ、Goiasは18世紀に造られた町で、元々は金採掘で栄えたところ。町の背後にはサバンナとは見まがうほどの緑多い小山が控えている。そして町の中心を清流が流れていた。
今この写真を見て思った。なんとあのラオスの古都、ルアンパバーンに酷似だと。宗教こそ違え、寺院と教会が市街地の中心をなしている。メコン川が流れ、緑の山々が市街を包み込むように囲んでいる。
着いた日は、ホテルから坂を下り、中心がある川沿いへ向かった。商店やホテルがあるが、賑やかさはない、観光客もまばらだったように思う。面積が日本ほどもあるGoias州の人口が東京の半分程度。その州都から車で2時間、人口3万弱の小さな町である。まわりは広大な砂漠に毛が生えたようなサバンナの平原なのである。
商店街から川の反対側に教会や博物館があった。それは翌日にまわして、川沿いを歩いただけで日が暮れてきたように思う。確か川沿いの歩道には何軒か小さな食堂があって外に机が並べられ、そこで串刺しの焼き肉を食べた記憶がある。多分、川を見ながらビールを飲むのが最高だろうと。
翌朝、写真にあるロザリオ教会（Igreja do Rosario）などを見て歩いた。詳細な記憶は残念ながらない。2012年と昨年ドイツを旅しているので、夥しい数の教会の残影が記憶の呼び出しを邪魔しているのかもしれない。ただ写真を見つめていると、飾らない民家、石畳の街路、素朴な教会などがこの町独特な雰囲気を醸し出してくる。自分は確かにあの場所にいてその風景を眺めたという実感が湧いてくるのである。
旅にはいろいろある。私の旅も実にさまざまである。しかし、このGoiasへの旅は大いに独特な旅だったと思い出される。一人、車で、片道１０００Kmの走行、ほぼ直線のピストン移動、その昔ポルトガル人が金鉱山を目指して切り開いたルートを辿る、目的地は歴史的世界遺産などなど。因みにブラジルには同類の、開拓者によって開かれた中世の歴史的都市群があちらこちらに遺っている。
（おわり）
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