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2020年04月09日23:33

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流行と伝統

「桃尻語訳枕草子」(橋本修)と言う本があって、一時期はかなり話題になり、それ以降、「現代感覚に直してみたらこんな感じ」と言う歴史事件や古典の紹介を見かけるようになりました。清少納言が紫式部に嫌われるほど流行の先端を走りたがるキャラクターだったというのは聞いたことがあるにしても、それを尖ったギャルと優等生女子みたいなつくりで表現するというのは画期的でした。

その中で、高僧の読経をロックコンサートに例える段があり、考えてみれば和歌にしろ、読経にしろ、大流行して社会に受け入れられたものが後世まで残っているわけで、安室奈美恵の「CAN YOU CELEBRATE?」が流行ってみんなが結婚式で歌うようになった、とか、葬式で秋川雅史の「千の風になって」をみんなで歌うようになった、と言ったことが百年、千年の単位で残ったものが葬式の読経であり、結婚式の「高砂」だと考えると、伝統だからなどと言っている人が愛らしく感じられるかもしれません(バカにしたくなるかもしれませんけど)。

現在とは比べ物にならないほど死が身近だった時代に救いを提示する宗教は、現在とは比べ物にならないくらい心に響くものだったとすれば、その教えをリズムに乗せて唱える読経はやっぱり心に響くものだったかもしれませんし、英語がわからなくても洋楽が好きな人がいるように、内容にかかわらず「よい」と思う人がいたかもしれません。今でも先端を走りたがる人は「わからないほうがカッコいい」と言ったりするので、そんな効果もあるでしょうか。実際に何が起きたかはそう簡単にはわからないでしょうけれど、最先端の大流行があって伝統ができたのです。
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