「スキャンダル」
原題はBOMBSHELL。どーいう意味か調べてみたら、
「爆弾」の他に「突発事件」、「かわいこちゃん」とか「魅力的な女性」という
意味もある(Weblio英和辞書)。
20世紀FOXが20世紀に改名するもとになったのが、右寄りのFOXネットワークとは
違うということを明らかにしたいということだった、そのFOXニュースが舞台。
見事に金髪美人のオンパレード。
主役のシャリーズ・セロン、ニコール・キッドマン、マーゴット・ロビーは
もちろん、他の登場する女性もほぼ金髪の白人。ここのテレビ局には黒人や
ヒスパニック系の人はいなさそうだ。
クールなシャリーズ・セロンは、大統領候補のトランプにセクハラを問い質し、
ニコール・キッドマンは、朝の番組から昼の番組に格下げになったというが
自分の企画で、自分の意見を述べている。
でも彼女たちの脚を写せと局のＣＥＯジョン・リスゴーは言う。
ジャーナリストとして発言するかどうかという視点が描けていたら
更なる深味が出ていたように思う。
テレビ局のオフィスが、最近見た映画とそっくりな雰囲気だった。
それは、「さよならテレビ」で写し出された東海テレビの報道局のオフィスだった。
東海テレビ制作のドキュメンタリー「さよならテレビ」は、
夕方の報道番組のキャスターをしている局アナの男性(推定40歳前後)と、
その報道番組のネタを取材する記者の50歳台の男性と、
人材派遣として入ってきた20歳台の男性を、
中心に描く。
女子アナも登場するが、ほんの少しだけ。
ワイズマンの映画のようにテレビ局の機能を徹底的に描くものではないし
テレビ局が終わったというような内容ではない。
テレビ局の報道の使命として、見学の中学生たちに話をする
「�〇�件・事故・災害・政治を知らせる
�⊆綣圓鮟�ける
�８⇔呂隆道襦�
それが本当にできているか、問いかけているものともなっていて
50歳台の記者が実は契約社員で、報道の使命に沿った志の高さを持ちながら
スポンサー絡みの取材ばかり担当している。
使命の3点に沿った内容として「共謀罪」にちなんだニュースが取り上げられる。
少なくとも記者のジャーナリストとしての矜持は示されるが
キャスターは以前の放送事故の記憶から自分のコメントに慎重になってしまっている。
「ジャーナリストか、会社員か」という外国特派員協会からの質問に
「会社員の立場であるより前にジャーナリストして取材している」と言う
東京新聞社会部の望月衣塑子記者のドキュメンタリー「ｉ−新聞記者ドキュメント−」。
裏付け取材を元に官房長官に質問をぶつける姿は、間違いなくジャーナリストで
あり、官房長官会見の内容をただパソコンで打つだけの記者とは違う。
彼女は記者会見ではパソコンを開いていないようだ。
映画の監督である森達也は記者会見にカメラを持ち込むことができないため、
質問時の望月記者は写し出されない。（彼女の質問には必ず司会のチャチが入る）
記者クラブでないと記者会見には入れないし、クラブには申請して入会を認められないと入れず、新規参入はほぼ無理。
新聞社の会社員であることが彼女の質問を可能としている。
記者クラブとして事前に質問事項を提出していることに、外国人記者はあり得ないと
言う。
望月記者はおかしいと思うことを取材し、質問しているだけであり
それが目立つことになってるのはどういうことか、と
森達也も映画を撮りながら自問する。
「スキャンダル」では、最後の方でマルコム・マクダウェルが
ＦＯＸニュース社主であるルパート・マードックとして登場する。
「時計じかけのオレンジ」など、反権力の暴れん坊としてのイメージが強かった
彼が、この役を演じているのは何とも皮肉な感じである。
ちなみにシャリーズ・セロンとニコール・キッドマンは実在の人物の顔に
なりきっているそうで、カズ・ヒロのメイクアップは全く自然で
シャリーズの顔のどこがシャリーズでないのか、全くわからない。
ログインしてコメントを確認・投稿する