mixiユーザー(id:212781)

2019年07月20日23:58

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硝子の破片

革をなめすように肌に触れる
ガラスの感触だろうとプラスチックの感触だろうと柩の中に収まる頃には想い出など拡散しているのに
もう一度名前を呼んでから就寝しよう

時間が湯豆腐のように煮立つ頃に目覚めれば葱のような手首を振りかざしながら鍋の中で放置し続けた感情がふやけていることから目を背けながら出掛ける
おいしいご飯を食べたなら余計なことなど忘れてしまおう

もたもたしている間に傾く太陽を今更のように浴びるから何もかもが追いついてくれない
映画を思わせる音作り、小説を思わせる指先の動き、夢から覚めない現実にはあらゆる要素が渾然一体となっているはずなのに何一つとして見出せない

まだ見ぬ景色からの呪縛に似たフラッシュバック
手を振るきみのこと微笑みながら見ていた
揺れている花は朝露にしっとり包まれて
摘まれた夜に添える言葉をずっと探している
気の利いた愛の言葉も見失ったままで
安らぎだけを安らかに眠らせていたい

泥に塗れた泥棒に泥を塗りたくる
死神が死相をあらわにしてとなりで
死の素晴らしさについて説くなら
心中できる気持ちを手探りで探すけど
愛から漏れた番外地に吹く風は
何ひとつ靡かせることができないのに
風の声はひどく痩せて優しい音色
凍った花がガラス細工のように
かぼそく折れるのに似た肢体を
思い描いたまま果ててしまいたい
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