午前中、プリンちゃんと近くの公園に行くと、
先客がひとり。
この時間に小学生だな。
ちょうど彼女のいた遊具にプリンちゃんが寄って行ったので、
声をかけてみた。
「蚊はいませんか?」 無反応。
「刺されてない?」 少しだけうなずく。
「この子、蚊に刺されたらひどく腫れるんでね」
5年生だ。
元の職業柄、小学生の学年はほぼ外さない。
そばにランドセルと体育袋か何かが置いてある。
キャラメルの箱も。
不登校なのか、保護者にも内緒で時間をつぶしてるのか。
「おじーちゃん、もしもししに行きたい」とプリンちゃん。
「この子ね、電話ボックスが大好きなのよ」
彼女は無表情にぼくたちの動きを見つめてる。
ぼくもプリンちゃんが電話ボックスで遊んでる間、
さりげなく彼女を観察している。
キャラメルを食べた。
包み紙を無造作に捨てた。
近づいて行って彼女の肩にそっとふれ、
「ねぇ、ごみ捨てるのはやめようよ。
みんなが使う公園だからね。
って、ダメな大人がいっぱい吸い殻捨ててるけど、
そんな大人になりたくないでしょ?」
彼女は黙って、キャラメルの包み紙を拾ってくれた。
ぼくは親指を立てて、笑顔を送った。
そしたら彼女は、
かなり食べ散らかしていたらしく、
別の遊具の下に何枚も落ちていた包み紙を、
全部拾った。
体育袋に詰め込んでいる。
「すばらしい!」
ぼくはもう一度親指を立てた。
もう少し彼女としゃべりたかったんだけど、
プリンちゃんが帰ると言う。
彼女の昼ご飯が気になったが、
バイバイ!と手を振ると、
彼女はかすかに頭を下げたように見えた。
明日もあの公園に行ってみよう。
雨が降らないといいけど。
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