画像は日本船舶海洋工学会のホームページより。
事故が起きた時以外はメディアが取り上げることが全くない海運業界ですが、外国から輸入する食料やエネルギーなど暮らしに必要なものは、99％以上を船が運んでいます。
国内輸送機関別輸送量に占める内航海運のシェアは、輸送量では8％ですが、輸送活動量では44％に及んでいます。
これは、内航海運が長距離・大量輸送に適した輸送機関であることを示しています。
内航海運は、2016（平成28）年度の平均輸送距離でみると495�劼如⊆�動車の10倍となっています。
内航貨物輸送量を主要品目別にみると、石灰石等、石油製品、鉄鋼等、セメント、砂利・砂・石材、化学薬品・肥料、石炭、製造工業品、自動車等の産業基礎物資9品目で輸送トンキロの91％、輸送トン数の90％を占めています。
小売店まで最終的に品物を運んでくるのはトラックですが、コンビニの棚に並んでいる商品の中で、一度も船に乗らなかったものはない、と断言しても良いでしょう。
さて、東京都港区芝大門2-12-9にある浜松町矢崎ホワイトビル3階に事務局を置く公益社団法人日本船舶海洋工学会は、毎年日本で建造された船舶の中から、技術的・芸術的・社会的に優れた船を選考して、シップ・オブ・ザ・イヤーを決めて表彰しています。
「シップ・オブ・ザ・イヤー2018」には、大型客船部門1隻、小型客船部門1隻、大型貨物船部門3隻、漁船・作業船部門3隻、海洋構造物・機器部門1隻の、計9隻の応募があり、6層リフタブルデッキを備え、横隔壁を完全になくすなど、種々の新機軸を採用し、かつ従来にはない斬新な外観デザインの自動車専用船「BELUGA ACE」が、過半数の票を獲得しシップ・オブ・ザ・イヤー2018に決定され、次点となったものの予備審査委員会で特に技術的に優れていると評価を受けたLNG運搬船「CASTILLO DE MERIDA」が、シップオブザイヤー技術特別賞となりました。
大型客船部門賞に「さんふらわあ さつま／きりしま」、小型客船部門賞に「うみのこ」、大型貨物船部門賞に「COOL EXPRESS」、漁船・作業船部門賞に「げんかい」、海洋構造物・機器部門賞に「NMRI航行型AUV4号機」が、それぞれ審査委員の過半数の票を得て選考されました。
カーフェリーも自動車を運搬するので、自動車運搬船とどう違うのか、をご説明せねばなりませんね。
既に使用されている自動車を貨物を積んだまま輸送するのがカーフェリーで、新車中古車を問わず商品としての自動車を運ぶのが自動車運搬船（PCC)です。
船積み陸揚げの際の荷役方法はよく似ていて、岸壁にランプウェイを渡して、自動車を自走させて積み揚げします。
PCCの船内は立体駐車場になっていて、前進で陸揚げできるように狭い船内で後退駐車をして、前後30cm左右10cm空けてきっちりと並べてラッシング（固縛）しますから、すごい技術です。
シップ・オブ・ザ・イヤー2018 受賞船
船名
BELUGA ACE
船種
自動車専用船
運航者／船主
株式会社商船三井／東慶海運
建造会社
株式会社南日本造船
竣工年月日
2018年3月15日
長さ × 幅 × 深さ - 喫水
191.55m×32.2m×37.4m - 10.0m
総トン数
63115
速力
19.0ノット
主機
MITSUI-MAN B&W 7S60ME-C8.5 (LLT with EGB)
積載貨物
Standard Car 5743台
特徴的な構造・艤装品
6層リフタブルデッキ、発電機用排ガス熱回収装置、バルクヘッドレス構造
私達でもお金を払えば乗れるのが旅客船ですが、小型客船部門賞に決まった「うみのこ」は、滋賀県の全ての小学校5年生が一泊二日の航海で琵琶湖の環境や寄港地の歴史・文化などを学ぶ学習船なので、誰でも乗れるのは、大型客船部門賞に決まった「さんふらわあ さつま／きりしま」です。
大阪／志布志航路に就航した新造船で、非日常の船旅を楽しめるよう「くつろぎのプライベート空間」やゆとりのあるパブリックスペースを充実させており、推進システムには、二重反転プロペラとハイブリッド推進システムを導入し、高い省エネ性能と操船性を両立させました。
シップ・オブ・ザ・イヤー2018 大型客船部門賞 受賞船
船名
さんふらわあ さつま／きりしま
船種
カーフェリー
船主
(独)鉄道・運輸機構、 (株)フェリーさんふらわあ
建造会社
ジャパンマリンユナイテッド(株)
竣工年月日
2018年4月27日／8月16日
長さ × 幅 × 深さ - 喫水
192.0m×27.0m×15.0m - 6.8m
総トン数
13659
速力
23ノット
主機
4サイクルディーゼル機関JFE12PC2.6B 8830kW×2
積載貨物、旅客数
13mトラック121台、乗用車134台、旅客709名
特徴的な艤装品
二重反転プロペラ、ハイブリッド推進システム
島国の日本で私達が快適な日常生活を送るのに、海運は欠かすことができない重要な産業です。
港めぐりの遊覧船に乗れば、港湾内にたくさんの商船を見ることができますし、旅客船には誰でも運賃さえ支払えば乗ることができます。
地球の7割は海です。そして日本は島国です。出かけませんか、船旅へ。
フェリーさんふらわあ（大型旅客船部門受賞船の運航会社）
https://www.ferry-sunflower.co.jp/
日本船舶海洋工学会
https://www.jasnaoe.or.jp/
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