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2019年05月07日16:39

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繁文縟礼、礼儀三百威儀三千

だいたい、日本のビジネスシーンでのマナーは煩雑過ぎる。
「ビジネスライク」というけど、
日本のビジネスでは
とにかく相手に失礼がないようにということで、
ある種の宗教の戒律みたいな
細々した作法や言葉遣いが多すぎる。
日本の会社はまるで宮廷のようだ。

その大半は敬語の「正しい」使い方だと思うが、
ぶっちゃけ本当に正しい敬語なんて
国語学の権威でもなきゃ分かりゃしねえよ。

「了解」という言葉だって、
辞書でみると「理解」と「承諾」の意味を
含んでいるとある。

たとえば「原作者に転載の了解を得た」
というように。

承諾の意味を含むからこそ、
目上の相手に対して使うのは失礼だという話も
出てくるのかも知れないが、
少なくとも国語学の立場では
別にそんな意味はない。

どんな社会でも「マナー」そのものは必要だけれども
これに抵触するのはタブーという
ギリギリの線が明示されていて、
そこに触れなければ
大丈夫ということが分かってれば
そんなにストレスはたまらない。

ところが、
その線が明示されていなくて、
突然タブーに引っかかることがあるとすれば、
まるで地雷原を歩いてるようなもので
そりゃストレスもたまるだろうさ。

無原則にして緻密に敷設されている
マナーの地雷を避けるために
神経をとがらせざるを得ない状況、

これがだいぶ日本企業や社会の
生産性を下げているのではないかと、
失礼かもしれないが、おれは勝手に心配している。

――本 文――

■「了解しました」は本当に失礼?
根拠なきマナーで社会のイライラが増す/鴻上尚史
(日刊SPA! - 05月07日 16:02)


― 連載「ドン・キホーテのピアス」<文/鴻上尚史> ―

◆「了解しました」は目上の人に失礼、という根拠なきマナー

 劇団の新人に何度か「かしこまりました」と返信されて、劇団ってのは、演劇をやる場所で、つまりは、言葉に対して敏感にならないといけない所なんだからと、ツイッターに「新人達がみんながみんな、『かしこまりました』とLINEやメールで返してくる。これを礼儀だと嘘をつき、定着させた大人達に心底、文句を言いたい。

『分かりました』『了解しました』でいい。『かしこまりました』と音声化したらすぐに、過剰な待遇だと気付く。商売マナーを広めた側の罪は深い」とつぶやきました。

 そしたら、「目上の人に『了解です』は失礼なことぐらい、作家なのに知らないのか」とか「私は秘書検定とマナー検定を持っていますが、教科書に失礼だと書いていました」とか、「了解は分からせるという意味だから、目上には失礼なんだ」とかさっそくバズりました。

 本当に『了解』は目上に失礼なのか? その根拠はなんなんだ? と、ネットのマナー講座を調べてみました。多くのマナー講座は「『了解です』『了解しました』は、目上の人に失礼です」とだけ書かれていて、理由は説明していませんでした。

 中には、「『了解です』を失礼だと感じる目上の人が多いので、これは使わないように」と書かれているものもありました。

 でもね、これは理由になってないよね。だって、マナー講座が「『了解です』は失礼だ」と言っているから、失礼だと感じるようになるわけです。「みんながこれは汚いと言っているから、これは汚い」は、同語反復で、理由にはなりません。

 で、広辞苑によれば、「了解」は「さとること。会得すること。また、理解して認めること」です。

 大辞林では「事情を思いやって納得すること。理解すること。飲み込むこと」です。このどこに、「目上の人に失礼だ」という含意があるのでしょうか?

「かしこまりました」を連発すればするほど、相手との距離を感じます。

 マナー講座が「相手との距離を作り自分を守る方法」を目指すのなら、文句はありません。でも、「相手をもてなし、好感度を上げる」のが目的なら、間逆をしているのです。

 ツイッターでは「コミュ障の私は、敬語がうまい。敬語はプロトコルで防御するためのもの」と書いている人がいました。的確な表現だと唸りました。

◆この国の不寛容とイライラが増していく

 マナー商売の人達は、マナーを教えて、「へえ、そうなんだ」と思われてないと、商売にはならないわけです。けれど、毎回「これ知らないでしょう。でも、大切なんですよ」なんてことは生み出せないわけです。

 そうすると「部下のハンコは斜め45度で押す」だの「とっくりのお酌は、反対側から注ぐ」だの、「それ、いくらなんでも無理ありすぎないか?」というものも登場します。

 で、こういうのは、受け取る側もある程度の知性があると「それはおかしい」と判断できるわけです。

 でも、「了解」は目上の人に失礼なんて、「国語とか歴史からそうなの?」みたいものは、だまされる人が多いのだと思うのです。

 僕がものすごく不思議なのは、「了解しました」が目上の人に失礼だという、僕なんかが感じられないぐらい繊細な感覚を持っているマナー講座の人が、「かしこまりました」という言葉を書いたり、口にした時の、その大仰さに違和感を感じない、ということなのです。

 ネットでは、いったいいつから「了解しました」が目上の人に失礼だと言われるようになったのかを検証した記事もありました。始まりは、マナー講師と呼ばれる人が書いた一冊の本でした。

 また、辞書を編纂している人の「了解いたしました」は少しも目上の人に失礼じゃない、と丁寧に説明している記事もネットにありました。

「了解しました」「承知しました」「かしこまりました」の順番で、待遇表現は、レベルが上がります。

 本当のマナー講座とは、この三つを(「了解です」は一番下位にきます)を、どう使い分けるかを教えることで、一律に「了解です」は失礼、「かしこまりました」がいいと機械的に教えることではないと思うのです。

 根拠のないマナーが増えていくたびに、この国の不寛容とイライラは増していくように感じます。黒のリクルートスーツの増大も根は同じだと思うのです。

https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=81&from=diary&id=5609326
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