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2019年03月10日23:23

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本日のシンクロニシティ

今日はクーポン割引で買った電子書籍「ヤンキー君と白杖ガール(1)」(うおやま)を閲読。小4にして高3のヤンキーに勝った高校中退無職のヤンキー・黒川と、明るさやぼんやりした色はわかる程度の弱視の女子高校生とのふれあいを描いたコメディです。

わりとほんわかした話ばかりなのですが、社会に横たわる「普通の人」以外へのバリアーにはじき出された人やその家族にかかる圧力がけっこう重い漫画でもあります。

黒川は喧嘩の際に刃物で顔を切りつけられたことがあり、その傷のせいで仕事に就くことができないでいます。ところが、ふとしたことで関わった老人から「私が子供の頃は頭や体にキズが残った人は当たり前にいたのよ。空襲に遭った私の弟も――」といわれ、「とっても愛しいわ」と老人から顔のキズをなでられて、黒川は受け入れてくれる人がいたことに涙します。そんな展開、こっちだって泣けてきますよ。

次に、先日から読んでいた「とめはねっ!鈴里高校書道部」(河合克敏)の続きを閲読。

こちらではクライマックス目前に、神奈川県書道界の重鎮が若い頃に「この人には一生かかっても勝てない」と挫折を味わった書道家の書を主人公が見にいくシーンが登場。

その書道家は国民学校の教師をしていて、卒業式の前に疎開先から卒業生を東京に連れ帰ります。他にも小規模な空襲によって家を焼かれて小学校に避難していた人たちが1000人以上。そこを東京大空襲が襲い、炎に囲まれた学校で卒業生8人を含む1000人以上が亡くなってしまいました。書道家は奇跡的に生き残ったものの、生徒を疎開先から連れ帰ったことを終生後悔することに。

主人公は、そんな書道家が東京大空襲で小学校ごと焼かれて死んだ人たちのことを伝える書を目の当たりにしてショックを受け、「書の甲子園」に出す作品が描けなくなる、という展開です。

そこまで読んで、どちらの漫画が描いているのも東京大空襲、つまり74年前の今日の出来事だと気が付いて、偶然だとわかっていても身震いしました。

昨今の世の中は戦争経験者が少なくなって、世の中全体に近隣国嫌悪が蔓延して、やれ国交断絶だ、やれ宣戦布告同然だと、ほんとにきな臭くなっていると感じます。

折しも、並行してぼちぼちと読んでいる「昭和史裁判」(戦争に対して重大な立場にいた人たち5人を、検事役の半藤一利と弁護士役の加藤陽子が振り返る対談集)では、第一次世界大戦で両軍合わせて26万人が戦死し、44万人にも及ぶ負傷者を出したベルダン要塞を視察した昭和天皇が「こんな酷い戦争をやってはいかん」とつぶやいたのが周辺に伝わると、現地を見たわけでもない軍関係者から「そんな弱いことでは困る」と批判の声が上がる、というところを読んだばかり。

3.11の記憶の風化もいわれていますが、戦争の悲惨な記憶も、二度とこんな戦争を起こしてはいかんという思いも風化しつつある現在、親の世代が戦争を経験していてその記憶の地続きにいる自分たちに何ができるのかをついつい考えてしまった3月10日でした。
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