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2019年03月01日07:35

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「GDPの裏側」

 何年か前、ブータンの国王が新婚旅行で日本に来た時に、「ブータンは貧しいけど、幸福度は高い」と言うような話がありました。これまで、「経済の高度成長=GDPの拡大」を目指してきた私たちにとって、かなり衝撃的なお話だったのですが、その時ふと思ったことは「GDPで中国に追い越されても、中国に行って住みたいか?」と言われれば、「イイエと答えるよなぁ」と思いました。「人はパンのみに生きるにあらず」とも言いますが、私たちの暮らしは「GDPさえ高ければよい」「所得さえ上がれば幸せ」と言いきれるのでしょうか?「これだけ豊かになったのに、なぜ少子化が進むのでしょうか?」

 新聞のよると「GDPが主に把握するのは販売価格からコストを差し引いた生産者側の利益である『生産者余剰』であって、LINEのような無料でメッセージをやり取りするサービスを『消費者余剰』と呼ぶが、この「無料」はもたらす影響は、一方で辞書や百科事典の売り上げを減らし(GDPを減らす)、もう一方で写真の撮影を飛躍的に増やしました。嘗ては、「GDP計算において、主婦の家事労働が計算に含まれないのはおかしい」と言う議論がありましたが、元々は17世紀に英国で「戦争遂行能力」を図るために「国力」を掴む物差しとして考えられたものなのだそうです。

 「無料サービス」と言う豊かさを提供する米グーグルなど巨大デジタル企業は、世界中の利用者から対価として個人情報を吸い上げるし、政府や中央銀行はモノの豊かさをGDPなどの統計で測り、政策を決める根拠としてきました。ですが「GDPで測れない豊かさ」が「GDPの外」にある以上、私たちはGDPとは別の「物差し」を考えなくてはならないのではないかと思うようになりました。

 家に居ながら銀行の自分の口座から子供の口座に送金したり、アマゾンで買い物ができます。関西電力は「毎月の使用料の通知を受け取りたければ108円、ネットで確認すれば無料」と言う通知をしてきました。スーパー業界が苦しい経営を続けている中で、半分以上の店舗を「駅ナカ」に設けている「成城石井」さんは一人勝ちなのだそうです。新聞が売れなくなったリ、コンビニから成人向け雑誌が消えてしまうのも、パソコンやスマホをはじめとするネットの提供するコンテンツの充実拡大があるからだと言われています。

 孫向文と言う中国出身の漫画家のインタビューをネットで見ました。彼がなぜ日本に来て「帰化」までしたかという話なのですが、「中国にはない質の高さに憧れて日本に来た。子供のころから鎌倉時代の話やおしんのドラマを見て日本の積み上げられた文化の中で生きてみたいと思った」と言います。意訳すれば「いくら物質的に豊かになっても、毎日の暮らしが刹那的で、秩序もルールもないケダモノ的な社会では満足できない」と言うような意味でしょうか?「やっと、洗濯機もテレビも冷蔵庫も手に入れた。けれど、日本製の品質や性能には到底及ばない。だから中国人はみんな「日本製」に憧れているんです」と言います。つまり中国人にせよ、韓国人にせよ、一生懸命頑張ってGDPで追い抜いた。サムソンがパナソニックやソニーを追い抜いた。でもやっぱり技術力がかなわない。それが嵩じて「反日」になっている。

 結局、昔言われた「飢餓からの解放」「危険からの解放」「苦痛からの解放」「隷従からの解放」と言う時代の遺物である「GDP」では測れない、次のステップの時代に突入していて、そこでは「自由なお金の使い方」ができるだけでなく「自由な時間の使い方ができる」こと、「洗練された意識の高い時間空間」を生きることが次の時代の物差しになるのではないかと思います。一方日本人の研ぎ澄まされた感覚が、低レベルの諸外国に影響されて若干鈍ってきた傾向にあるのではないかとも思います。「中国人の観光客が南部鉄瓶を買い占めている」のは、近いうちにこれを作れる職人が居なくなるので値上がりするからだと言います。伊藤若冲の絵や飾り細工職人などの技術伝承があったからこそ、日本は高度経済成長できたのに、今や伝統技術の伝承がおろそかになって、世界中が憧れる「高品質の暮らし」が少しぐらついているようにも見えます。

 米中貿易戦争の「量的戦い」を横目で見ながら、我が国は世界中から「別格」として認められる「品格」のリーダーとして、今一度自国を見直してみたらどうかと思います。
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