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2019年01月24日23:05

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【拳闘】メイウェザー×天心《伍》那須川天心は何を得たのか

今回もう1つ、特に気に障ったのは高田延彦だ。それまでは『居酒屋でクダ巻いてる陽気なオッサン』的な砕けた雰囲気が嫌いではなかった(決して好きでもなかったが、まぁこういうキャラが1人いてもいいかなくらいに容認してた)。だが今回は特に酷かったな。あれで呂律が回ってなかったら、泥酔オヤジと殆ど変わらない。
いちいち観直して確認するのも面倒臭いんで適当に記憶で書くけど、概ねこんな感じ↓



試合直前、もうこれ以上は無いと言うくらいに盛り上がってる中、

『遂にメイウェザーがやって来たね。

と言うことは…

ね?と言うことは、だよ?

これがもしかして、最初で最後になるかもしれないってことだよね』

なんてコメント。
一回一回話を切って思わせぶりな空気を作り、散々引っ張ってさぁ何を言うのかなと期待させ、口から出たのは当たり前のこと。
引退してる選手がエキシビションならやってもいいよって特別に来てくれた話なんだから、普通なら最初で最後になるでしょうよ。何度も来日してるけどそろそろ引退を考えてる、なんてミルコみたいな選手に対してなら『もしかして今回が最後になるかも』ってコメントが相応しいだろうけど。
何かが起きない限り、メイウェザーが日本のリングに上がるなんて最初で最後だろ。だからこそ日本中が沸き返ったんですけど…

試合中にも引っ切り無しに『TK後何分?』とか訊くしね。高坂剛が時計見れるんなら自分の位置からでも見れんだろ。てか俺たち視聴者に説明しなきゃならん立場なのに、お前はお客さんかっての。

野沢オークライヤー真珠の試合での高田も引っ掛かったな。
野沢がピンチに陥り必死に防戦してる時、放送席では『野沢危ない』、『頑張れ』、『右脚が抜ければどうとかこうとか…』とみんななで応援してるのに、なぜか高田1人だけ相手選手目線。
『今(相手選手は野沢に対して)三角狙えるんじゃない?』
『どう藤井さん?』
『行けるよ、行けるよ〜♬』

『どう?』って振られた藤井惠も困るよな。どう?って訊かれても、アナタが見た通りですよ。だから『危ない』、『ピンチ』って慌ててるんですけどね。
解説者だから双方公平にってのも解らない理屈ではないけど、でも自国選手と海外の選手が戦えば、普通は自国選手を応援するでしょ。だって突き詰めれば『知り合いの知り合いの…』って狭い世界で、誰かしら関わってるんだろうし、普通応援するよね。野沢だとさすがに接点無いのかもしれないけど。
て言うかその口調。野沢だって半分日本人なんだから、その仲間がジワジワ締め上げられてる姿を見て何が楽しいんだよ。
『逆十字も狙えるんじゃない?』
『チャンスだよチャンス』
じゃね〜んだよ。
『いいぞもっとヤレ〜』とでも言いたげ。
何を大はしゃぎしてんだか。



バカな話はそれぐらいにして、最後はお口直しにもう少し格闘技の話を。
元WBAスーパーフライ級王者である飯田覚士のコメント。
『体重差が如実に出た。タオルの投入で試合が止まったのでギリギリ許される試合だったのかなとは思った。
メイウェザーを本気にさせた天心は素晴らしかった。ただ10オンスのグローブではパンチを出す方も手加減が難しい。この体重差の試合では「やっぱりメイウェザーは凄い」、「ボクシングは凄い」ともならないでしょう』

最後のコメントに彼の心情が吐露されてる気がするのは俺だけだろうか。
『ボクシングが凄いからボクサーが勝った』とか、
『メイウェザーが凄いから彼が勝った』
のではない。
『デカい奴と小さい奴が戦ったから、デカい方が勝った。ただそれだけの試合』
とバッサリ切り捨ててるのだ。わざわざ高いギャラを払って世界一のボクサーを呼んで来たと言うのに、相手をした天心が全くの力不足で、メイウェザーの実力を引き出すこと無く終わってしまった。という訳だ。

グローブの重さについても言及してるが、これは俺はどうなのか判らない。天心のグローブは8オンスで約2.26kg。メイウェザーの10オンスは2.83kgってことになる。
グローブが軽い方が当然扱い易く、ハンドスピードも鈍らない。また、皮が薄いので相手に大きなダメージを与え易い。とされているが、実はそれは逆、という指摘もある。135年前までボクシングはベアナックルと言って、布を巻いただけの素手で殴り合っていた。しかし殴った自分の拳を骨折するケースが続出した為、クイーンズベリー侯爵なる人物が『自分の拳を守る為』グローブを考案。それ以降選手はグローブを着ける様になったのだ。当時は『クイーンズベリールール』と呼ばれていたが、すぐにそれが常識となり、それを持ってして『近代ボクシング』と呼ばれる様になった。
ところが、グローブを装着することによりKO率が上昇するという予想外の現象が起きる。
これは質量自体が増すので衝撃も増すって点と、ベアナックルの強烈なパンチを受けると骨が折れるので、衝撃がそこに吸収されて脳震盪を起こし難いって点が考えられる。
うちの職場に元プロボクサーがいるのだが、その人も16オンスなんかでボディなんか喰らったら悶絶するよ、と言ってた。
確かにね、野球ボールが腹にめり込んだら『痛い』だろうけど、バスケットボールだったらのたうちまわるだろうことは何となく想像できる。
ただ、ボクシングの世界でも普通に『大きいグローブはクッション性が高く柔らかいので威力を減殺する』的な扱いだし、今回の一戦でも天心側もメイウェザー側も、飯田覚士も、皆異口同音に『ハンディとしてメイウェザーは重いグローブ』としてるので、俺には解らない部分である。



那須川天心という稀代の天才が、今回の敗戦から何かを得たことに期待したい。願わくば今後のアスリート人生を左右する様なダメージ(それは肉体的にも精神的にも)を負うことなく。

『どんなにピンチになっても、倒されても絶対に下がんないで勇気を持って前に出ようと思っていた。それはできたと思う、今日は悔しいですが、凄くいい経験ができた。自分しかメイウェザーを知らないんです。次もがんばれる気がします。もうこれ以上に怖いものはない。今日という日は忘れません。
ちょっと打とうとしたらフェイントをしてくる。一流だなと思った。収穫は、メイウェザーから、フェイントだったり、ポジショニングだったり、パンチの打ち方だったりを盗めたこと。ただ真似るのはボクシング技術だけ。普段の態度は真似したくない(笑)』(天心)

試合前に天心は珍しく『殺されるかもしれない』とか『怖い』的な言葉を漏らしていた。
それもそうだ。ボクサーなんて両手にハンマーを持って振り回してる様なもんだからね。その相手に向かって行こうってんだから、それで恐怖を感じなかったら逆に神経を疑う。
それでも『前に出る』と自分に誓い、そしてそれを実践した。恐怖心を乗り越えたからこそ『もう怖いモノは無い』って言葉が出たんだろうな。
『怖いもの知らずより、本当の恐怖を知る人間の方が強い』みたいな言葉を時々聞く。実際のところどうなのか俺には解らない。
しかし、知らないより知ってる方が、やっぱり何かしらプラスになるような気はする。



『レジェンド』と呼ばれるボクサーの多くは、敗北を経験し、寧ろそこで生まれ変わった様にパワーアップして這い上がって来るものだ。

世紀の一戦と呼ばれた全勝同士の対決で、アリはフレイジャーに敗れるが、しかしそこから不死鳥の如く2回も王座に返り咲いた。アリは生涯で5人に敗けていながら、未だに『史上最高のボクサー』と評価する専門家は多い。

エリート街道を駆け上がって来たシュガー・レイ・レナードはロベルト・デュランに敗れたが、その一戦が『80年代黄金のミドル級』の扉を開いた。
そして無敵のハグラーを下したのも、ボクシング史上初の5階級制覇を成し遂げたのも、そのレナードだった。

天心の自惚れた一面をテレビで見た記憶は無い。しかし本人も気付かないところで慢心が忍び寄って無いとは言い切れない。大きなハンディがありはしたが今回コテンパンにのされ、『世の中には途轍も無く強いヤツがいる』ことを肌で感じたことだろう。今回の敗戦を糧に、是非大きく飛躍して欲しい。そうすれば伝説の仲間入りは充分可能だろう。

メイウェザーは50戦全勝無敗だが、彼を史上最高のボクサーと評価することには疑問の声が多い。
勝てる見込みの高い相手ばかりを選んで戦い、強い相手との対戦を避けていれば、数字の上では記録を残すことができるだろう。だがアッと驚く衝撃が無ければ、人々の記憶には残らない。実力的に互角と見られ、どちらが勝つのか判らない試合で豪快に勝ったり、不利と思われた試合で壮絶な逆転劇を演じたり、である。

強い敵に立ち向かって行く勇気。

相手を出し抜く鮮やかな作戦。

そうしたアスリートに我々は
『アイツならやってくれるに違いない』と夢や希望を見出すのだろう。

当たり前のことをやっただけのメイウェザーと、目一杯背伸びして実力を遥かに上回る戦いに挑んだ天心。
高い壁に挑戦し、今までの自分の殻を打ち破ったのはどちらなのか?
そう考えていくと、果たして今回の真の勝者は誰だったのか。那須川天心が今後どの様な選手に成長するのか、そこに答えが見つかるだろう。

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