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2018年11月07日17:09

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10月の。

10月に観たのは『ジェーン・ドウの解剖』『怪物はささやく』『メッセージ』『ライフ』の4本。

●『ジェーン・ドウの解剖』
一家惨殺の現場となった家の地下で、土に半分埋まった状態で発見された身元不明の遺体。死因を調べるため民間の葬儀社に運び込まれる彼女。解剖が進むにつれ普通の遺体ではないコトが明らかになってゆき、同時に怪現象が起こり始める……みたいな。
三代続く古い葬儀社の地下空間で話は展開してゆくのだけどココ、めっさ雰囲気あって最高。まぁ、映画の舞台としてはね。実際に長時間滞在したくはないけど。曲がり角のカーブミラーとか、何の為にあるんだかよく判らないけど何の為にあるのかはよく判る。ええと、映画のセット的には、て意味ね。
結局『彼女』の恨みはヒトリが犠牲になったくらいじゃ収まりませんでしたってコト?なのかしら?それとも父ちゃんが途中で命を絶ったから最後まで贖罪が済まなかったの?或いはリングみたく『呪いを解く条件』を勘違いしてたか。其処ら辺は想像に任されて居るけどどうも三番目のような気がするな。
ラジオから雑音混じりでたびたび聞こえて来る♪憂鬱だと悪魔から逃げられない。心を明るく照らして笑いましょう♪みたいな歌。陽の気をはらんで居るのが却って不気味でよかったな。実在する歌かどうかは知らないけど、信教の名の下に行われた狂気、正しさと云う暴力性をよく体現して居たと思う。
まぁ。既存のホラーから大きく逸脱するモノではないけれど、それほどいやーんな既視感に襲われるコトもなく、それでいてそこそこ王道的な映画でそこそこ楽しめましたよ。どっちかと云えば好きかな。
前に観た何だっけ?アフターライフ?だっけ?の舞台でもあったけどああ云う民間の検視施設、メリケンでは一般的なん?それともアレが田舎だから?ひょとしたら日本でもよくあるの?ちょと気になる。

●『怪物はささやく』
重い病気で闘病中の母親と離され、学校ではいじめられて居る少年コナー。家の窓から見える丘の上のイチイの木。ある夜、それが立ち上がり巨大な怪物となってコナーを訪れ「物語を3つ語る。4つめはお前が語れ。それが真実だ」と告げる。そんなん。
怪物の語る物語。それは現実のコナーとリンクして居て特に3つめはコナーそのモノの物語。「物語の裏表、誰が善玉で誰が悪玉か、物事は見方によって変わる。何を信じ誰を信じるか見極めろ」て云う怪物のコトバ。それは現実もまた同じ。敵か味方か判然としない怪物。人間は信じたいウソを信じる。
そう。コナーは、怪物が母親を助けに来て呉れたと思うのだよね。そのためにやって来たと。父親は離婚して外国、厳格でキツイ祖母とは暮らしたくない、母親と暮らしたい。藁にもすがるコナーは、だから必死でそう思い込む。母親を治して呉れると。怪物も否定しない。だけど怪物の目的は、別にあり。
解釈として、恐らく、怪物はコナーではなく母親のモノ。幼かった彼女が生み出し、彼女の人生を共に歩んで来た彼女のイマジナリィフレンド。それが長い旅路の終わりに彼女の息子を訪れ、その心を救うために手を貸した。母の心から生まれたモノだから。母だから。それは、まだ人生に立ち向かう力を持てずに居る小さくか弱い息子に、彼を遺して逝かねばならない母がしてやれた、最後から2番目のコト。
紙の上に、インクの染み。それがドアや鍵穴に、サマザマな風景に変わってゆくオープニング。怪物のお話でも使われたコレは非常に綺麗で面白い手法だったけど、コレも母親の好んだ絵の技法だった。画家を目指して居た母が幼いコナーと共に絵を描き、手ほどきしたコトもまた、彼女から彼への贈り物。
決まって12時7分に現れる怪物。中盤、イラつき気が焦るコナーが時計の針をがーーーっと進めてその時刻にしたら怪物、律儀に息を切らせて登場。このクダリは少し可愛かったのだけれどこの時刻。随分とまた中途半端な時刻だなーと思って居たら、そう云うコトだったかー、と。好きな映画でしたよ。

●『メッセージ』
世界12箇所に現れた『殻』と名付けられた浮遊物体。中にはエイリアンが居て、地球人のコンタクトを受け入れる。彼らの異質な言語を解析し、会話を成立させ、来訪の目的を聞き出すため、言語学の第一人者ルイーズに白羽の矢が立てられるが……的なお話。
言語体系の全く違う宇宙人相手のコミュニケィションに四苦八苦するシークエンス、昔読んだ『地球はプレイン・ヨーグルト』を思い出した。あっちは『味覚』こっちは『円を基本とするパターン』、奇抜さでは梶尾真治の勝ちかな。あっちはコメディ調、こっちは時空にまで踏み込む壮大な話だったけど。
人類は彼らの目的を探るため彼らの言語を欲した。でも彼らの目的は『自分たちの言語を贈るコト』自体だった。て云う手段と目的の鮮やかな転移。言語はヒトを結ぶモノ。時には最初の武器となるモノ。そして『世界の捉え方』を左右するモノ。て云うルイーズの持論が緩やかにストーリィに絡み、牽引し。
異質なモノと対峙したトキの世界の在り方のシミュレィト、徒にセンセーショナルに走らないストイックなパニックムービーとしてもめっさ好みではあるのだけどコレはアレだ、言語学の物語だね。
作劇上、大きく弄ってあるのは『時間』。ヘプタポッドたちの言葉には時制がない。彼らの言語を習得するコトで彼らと同じような『世界の見方』が出来るようになる。それを最初に手に入れたのは中心となって彼らの『言語』と接して居たルイーズ。彼女の娘の存在。この辺の流れは綺麗だし、騙されたな。
人生の全てが見えるようになったルイーズ。でも、悲しい運命や辛い結末が判って居ても、それまでの時間の素晴らしさは本物だから、どの瞬間も大事にすると云う決意。コレ、決定論なのだよね。未来は変えられないと云う。そのビジョンと異なる行動を彼女が取ったらどうなるの?てのはちょと思った。
『文明の基盤は言語』『文明の基盤は科学』て冒頭で対立する言語学者ルイーズと理論物理学者イアン。彼らの学者としてのアプローチの差をもう少し引きずって欲しかった気もした。イアンがルイーズの流儀にアッサリ取り込まれちゃったからな。まぁそれが正解なのだけど。だって言語学の映画だから。

●『ライフ』
無人探査船が採取して来た火星の土壌サンプル。ISSでの分析の結果、単細胞生命体を発見する。カルビンと名付けられたそれはラボ内で成長し、生存するためにクルーを襲い始める。『地球に入れてはいけない』て云う検疫の鉄則を守るため、クルーは……的な。
まぁ。ぶっちゃけエイリアンだね。1作目の。このテの映画としては割と好みの方でしたよ。タイトルもう少し何とかならなかったのかなーと思うけど。でもラストはまんまと騙されたし、面白かった。悲鳴を上げながら飛んでくのは何か悲壮であるのと同時にちょとだけ笑って仕舞ったのだけどね。でも。
こう云う映画に出て来る生物、てこのカルビンみたく蛸と魚のハーフ的なのが多い気がするけど、もしそうだとしたら何でだろうね。判りやすい異形、てコトなのかしらん。確かに無重力空間を半透明な身体でクリオネみたいにひらひら泳ぎ来るの、キレイでキモくて儚くて恐ろしげでなかなか良かったけど。
それはともかく、細胞1コから増えた群体的生物てコトで数体出してもよかったんじゃないかな。やっとの思いで1匹始末したと思ったら……的なシークエンスも入れられたと思うし、環境と栄養さえ揃えば爆発的に増えてくのかコイツ……的なアレになってラストの絶望もより増したようにも思うのだよね。
まぁ。クルー6名で狭いISSの中、対するカルビン複数だとあっちゅう間に追い詰められて詰みになっちゃうけど。パックマンみたいに。て云うか『空中を漂う血液の粒を一粒づつ食べながら移動するカルビン』がまんまパックマンで思わず突っ込んで仕舞ったのだよね。アレは少し可愛かったな。
そう。余談だけど、この物語をカルビン側から見ると王道のサクセスストーリィになるのだよね。復活して、戦って、生き延びて新天地へ、て云う。物語は立場によって様相を変えるのです。まぁ。多分。
カルビンがラボから這い出そうとして居る時点でラボごと切り離せなかったのか?とか細かなツッコミドコロはあるのだけどね。まぁ、ヤボですわね。説明を付けようと思えば出来そうな感じだし。
ISSが好きで地上が嫌いなデヴィッド、足が不自由で此処でなら自由に動けるヒュー。この2人のキャラ付けは何か、良かったな。彼らの末路とちゃんと結びついてたし。うん。まぁ、楽しかったよ。

●●●
月間賞は『怪物はささやく』に。
次点で『メッセージ』かな。
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