歩いていると通りに面したマンションの2階のドアの前から子供泣き声がする。
言うこときかないから家からおいだされたのかい?
あったなぁ俺にも…
当時は社宅に住んでいた。
理由は覚えてない。
てか何で出されたのかわかってなかったと思う。
「!!、!!、っ!」
ガチャン!
ただただ開けて、開けて、と泣き叫ぶだけ。
閉め出されたことが怖かったからではなく、夜というものが怖かった。
日が落ちてるということが怖かった。
夜が途方もないものに感じられたから。
ただただ闇から解放されたい一心だった。
自分にずる賢さがあれば
近所の遊び仲間の階のインターフォンを押していたかもしれない。
あいにくそこまでの図太い少年ではなかった。
そんなことができていたら
この子は将来大物になるだろうと
大人たちから言われていたことだろう。
歴代の偉人たちはなにかしら
幼少期のころの逸話がつきものだ。
残念ながらわたしにはそんな一目置かれるような逸話はない。
だいたい30分か1時間ぐらいしたら扉は開かれる。
いつもより家の中の灯りが
明るいオレンジ色に感じられるのはなんでだろう。
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