現在のロシアに対して、私は基本的に悪い印象をもっていない。
が、ロシアを悪く言う(思っている)人の多くがその理由として
・太平洋戦争末期の参戦、北海道などの住民に対する蹂躙
・シベリア抑留
・北方領土
を挙げるわけだが、それもどうか、と感じている。
まず、太平洋戦争末期の参戦だが、ソビエト連邦は日露戦争のことをまざまざと覚えていたために大日本帝国がほぼ完全に弱体化するまで手を出せなかったんじゃなかろうか、と思っている。陸戦でも海戦でも、大日本帝国の将兵は恐れを知らずむちゃくちゃに攻めてくる敵だったはずで、かなりの恐怖があったのかもしれない。
別な見方をすれば、基本的に太平洋戦争は大日本帝国対アメリカの戦争だったことから、日本がアメリカに支配された場合の国益を考えて行動した、と考えればつじつまは合う。日露戦争は帝政ロシアが朝鮮を支配することを恐れた大日本帝国との戦争だということもできるわけで、ある意味どこの国も同じようなことを考えて戦争をやっていた時代だとも言える。
北海道や千島などの住民への蹂躙だが、ぶっちゃけ言うとアメリカによる空爆・原爆投下・病院船や疎開船に対する無差別攻撃なども、同じか、それ以上にひどいものであったことは忘れたくない。
シベリア抑留だが、ここで忘れちゃいけないのは満州などに残っていた日本人が日本という国からどう扱われたか、ということである。満州などへ行くときは「国家事業」扱いでどんどん人を送り込んでいたのに対し、終戦後は引き上げ者としてかなり悲惨な扱いを受けている。日本政府には彼らを復員させるだけの交通手段もままならず、復員してきても仕事も食料もない有様で、どうにもならなくなった当時の日本政府は「復員できない者は現地にて同化」とまで言っている。つまり、日本という国は日本人を守る能力すら失った状態であった。
そこに労働力として目をつけたのがソビエトなのだが、実はこのころソビエト連邦内でも多くの人が強制移住をさせられたり、ソフホーズ・コルホーズなどで厳しい目にあっている。また、当時の日本の残兵がソビエト領内の村を襲ったりしたこともあったらしい。生きるために仕方ないとはいえ、明らかに犯罪である。
そのような事件・強制があったことを忘れてはいけないが、互いに寛容をもって、許しあい、今後のために話し合い、理解しあうことのほうがずっと大切だろう。
北方領土の問題だが、ソビエトが奪った!という理解は一方的なものだと最近考えている。その根拠がサンフランシスコ講和条約第2条のCだ。
>日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。
さて、この条文を読んで、国境がどこにあるか明確にわかるだろうか?ポーツマス条約までさかのぼってみても、国境線の場所は明確にはならない。日本とソビエトがお互いに主張しあっている状態なのは、ここにひとつの原因がある。
もう1国、重要な国がある。ソビエト・ロシアを極端に敵視し、悪者だと決めつけ、恐れている国、アメリカである。サンフランシスコ講和条約の条文を決めるにあたって一番力をふるった国でもある。アメリカにとっては、ソビエト(ロシア)と日本が敵対関係にあったほうが都合がいい。これは現在でもかわっていない。
終戦後、日本はアメリカに頼らざるを得なかったわけで、サンフランシスコ講和条約を否定できるわけはなかったし、日本が国境線を択捉島の先だと言ったところで連合国は認めなかっただろう。
その上で、70年以上も前にあったことをいつまでも根に持って恨み続けることは、日本人にとって意味があるだろうか。それは「南京大虐殺」「従軍慰安婦」などと言ってくる国の言い分と何が違うというのか。
住む場所を奪われ、強制労働につかされた人々、ご家族がそう言うのはしかたないことだろう。が、後の世代の者までもがソビエトやロシア、現代のロシアの一般人までも悪者呼ばわりし、恨みをつのらせるのは私には理解しがたい。
ソビエト連邦はゴルバチョフ氏の時代にとても大きな変革を2つ行っている。ペレストロイカは有名だが、もうひとつの「グラスノスチ」はあまり知られていない。大規模な情報公開であり、かなりいろいろなことがわかってきている。
たとえば「ソ連のアフガン侵攻」としてアメリカが大批判・非難した事件も、アフガニスタン政府が反政府武装組織に苦しめられ続け、友好国であったソビエトに再三支援を要請した結果としての軍事行動だったことがわかっている。余談ながら、参戦したアメリカの空爆で家族や仲間を殺された人物による報復攻撃が「9.11同時多発テロ」だったりもしている。
スターリン時代のソビエト連邦と、現在のロシア連邦、制度も政策もまったく違う。大日本帝国と日本国ぐらいの違いはある。それは知っておいたほうがいいと思う。
誰かまたはどこかを「悪者」と決めつけ、力を背景にして制裁を押し付けたり、条約や国際的な条約を一方的に破棄したり、友好国に対して無法とも思える関税(や押し売り・規制)をかけてきたり、朝令暮改が当たり前だったりする大統領がいるアメリカ(それも長くない気がするな・・・)。
たとえ不人気であろうとも、必要な改革(年金とか)を断行し、多少他国の目に余ることはあっても、ロシアの国益を長期的に戦略的に考えて行動しているプーチン大統領。
どちらを信用するか、と言われたら、私は「今のところ」プーチン大統領のほうが信用しやすい。
さて、平和条約締結「そのもの」については、私は大賛成である。
領土問題棚上げは、微妙だが、今(たぶん今年いっぱいぐらい)がチャンスであることもほぼまちがいない。ただし、安倍政権が続くという前提である。
懸案は山ほどあるが、じっくりしっかり、でもあまり時間をかけずに検討し、前進することを願っている。そして、アメリカが邪魔をしてこないことも、心から願っている。
■「プーチン氏意欲の表れ」=安倍首相
(時事通信社 - 09月13日 18:00)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5287676
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