台湾の山岳会の人たちが日本に来た。
いつもむこうの山に登るときにはお世話になっている。
来日したときには案内しなければいけない。
8月16日から9日間、ガイドをすることになった。
今回日本に来たのは4人だ。
8月7日に大阪に着いて、富山へ行き、折立から入山。
薬師、黒部五郎、水晶、笠ヶ岳と北アルプスを縦走していた。
そのあいだは別の人が案内係として同行していた。
8月15日、台湾人たちはわさび平小屋に泊まった。
北アルプス案内担当の人は、そのまま関西の自宅に帰宅した。
翌日から、わたしの案内が始まった。
8月16日(木)
未明に名古屋を出発して新穂高温泉に到着。
駐車場に車を停めて仮眠をする。
9時30分、台湾人から下山したとLINEで連絡がある。
登山口の指導センターまで迎えに行く。
そのまま日帰り入浴温泉の「ひがくの湯」へ行く。
今回の台湾人メンバーは4人だ。
わたしの自動車が人と荷物で満員になる。
まずはリーダーの許さん。
上級公務員を定年退職して悠々自適の生活をしている。
日本百名山完登を目指し、今回もそのために来日した。
写真が趣味の黄さん。
趣味というより写真が生きがいで人生のすべてのような人だ。
40万円もするカメラを持ち歩き、とにかくどこでも写真ばかり撮している。
同じ名字で女性の黄さん。
自由奔放な人だ。
食事をしてもいなり寿司にわさびを塗りたくったり、茶碗蒸しに唐辛子をたっぷりかけたり、道を歩いていても突然大声で唄を歌いだしたりする。
こういうのを見ていると知能の遅れたオバサンのようだ。
でもじつはメンバーでいちばんのインテリで、数学の教師をしていて英語も堪能だ。
いちばん若い陳さん。
大柄で重い荷物も平気で担ぎ、酒も底なしに飲む。
山登りも長靴で登ったりする。
かなり野性的な人だ。
日帰り入浴温泉に行ったけど、黄さんと女性の黄さんは風呂に入らず待合室で待っていた。
台湾では全裸で温泉に入るということがないので、知らない人に自分の裸を晒すことにどうしても抵抗があるそうだ。
車を走らせて松本へ行く。
モンベル安積野店へ行き、回転寿司で昼食をご馳走してもらい、松本駅前のホテル飯田屋にチェックイン。
その夜は居酒屋・魚民で嫌というほどビールを飲み、さらに焼き鳥屋でもういちど嫌というほどビールを飲んだ。
8月17日(金)
ホテルをチェックアウト。
イオンモール松本で買い出しをする。
高速に乗り、駒ヶ根キャンプセンターへ行く。
北アルプスを縦走してきて疲れているので、ここで2泊してのんびりするのだ。
大きな作り付けのテントを借りることにした。
近くのマルスウイスキー工場へ行く。
ウイスキーの試飲ができるので、皆さん大喜びで飲んでいる。
わたしは運転手だから飲酒は不許可だ。
せっかく来てもつまらない。
それで鬱憤を晴らすために夜になって酒を浴びるほど飲んだ。
そしたら夜トイレに行った帰り、石に躓いて転んでしまった。
左手のひらが尖った石にあたり、ざっくりと裂傷。
下唇が歯と石に挟まれて切れ落ちそうになった。
手からは流血が止まらず、唇は5ミリ角ほどがちぎれそうになっている。
困ったなあと思いながら寝る。
なにしろ酔っ払っているから寝るしかないのだ。
8月18日(土)
朝起きたら、なんとか流血は収まった。
下唇もくっつきかけている。
人間の体というのは動物のような回復力があるのだなあ。
近くの日帰り温泉「こまくさの湯」へ行く。
明治亭で駒ヶ根名物のソースカツ丼をご馳走してもらう。
昼からはテントで昼寝をする。
夕方になりSEIYU駒ヶ根店へ買い出し。
今日の夕食は台湾人が台湾鍋料理を作ってくれる。
キャンプ場に戻ったら仲間二人が到着していた。
北アルプスを案内同行したMさん、明日から南アルプスを案内同行するMさん。
あれ、どっちもイニシアルがMだ、
まあいい、北アルプスのMと南アルプスのMでいいだろう。
総勢7人で台湾鍋料理を囲み、またまた酒を飲んだ。
8月19日(日)
7時30分、2台の車に分乗してキャンプ場を出発。
南アルプスのMさんは昨夜飲みすぎて意識朦朧としている。
中央高速を走り駒ヶ根から大鹿村へ行く。
10時、鳥倉林道のゲート前駐車場に着く。
ここから塩見岳に登るのだ。
南アルプスのMさんは相変わらず二日酔いだ。
これから先、台湾人を聖岳まで先導しなければいけないのに、車から降りることさえできない。
彼にはあとから追いかけてきてもらうことにした。
台湾人4人、北アルプスのMさん、それにわたしの6人でゲートを越えて歩き出す。
30分ほどで林道の終点、登山口に到着。
ここからよく整備された登山道を登る。
最初少し急坂だったけど、まあどうということのない登りだった。
14時、三伏峠に到着。
早くもナナカマドが赤くなりかけていて、その向こうに明日登る塩見岳が見える。
許さん、北アルプスのMさん、それにわたしは山小屋で泊まる。
あとの3人はテント泊だ。
それぞれ受付を済ませ、寝床を作っていた。
しばらくすると南アルプスのMさんが登ってきた。
まだちょっと酔いは残っているけど、なんとか頑張ってここまで来たそうだ。
足を引きずりながらテント場へ降りていった。
夕方になり、わたしだけは素泊りなので自炊場でカツ丼を作る。
みんなでテント場に集まり、また宴会だ。
さすがに山の上なので浴びるほどは飲まない。
日暮れとともに解散して就寝した。
長くなってきたので後半に続く。
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