浮世絵の鈴木晴信を観に行く。
浮世絵もいろんな作家がいるが、
晴信、好きなんだよなあ。
北斎や広重も良いんだけど、
大家の複雑さと無縁な、軽やかさが好きなのだ。
色は黄色。
色彩感覚の素朴さが良い。
などと思ってたら、
(作品の保存状態がいいんだな)白が美しい。
しかも凹凸だけで表現とか、なかなか。
多色刷りの創始者なんだけど、
まだ大量販売の時代の前で、
使っている紙が贅沢。
紙が厚く、デコボコだけで、表現ができる。
いやあ、きれいです。
ボストン美術館の館長さんが語っていたが、
「晴信は幸福な作家だった」
いろいろ、紙や絵の具で実験しながら、
楽しく錦絵の世界を作り出していった。
「見立絵」というのがあって(けっこうたくさん)
館長さんはパロディと言ってたが、
例えば平家物語。
壇ノ浦の海戦で、平家の女官が扇子を船にかざし、
「当ててみろ」と挑発したのを、
源氏の那須与一が矢で打ち抜く、というシーンがある。
見立絵。
船の上で江戸のお姉さんが扇子を広げて立っている。
岸辺には、扇子に貼る紙の行商の箱を後ろに置いた、江戸のお兄さん。
矢を打つ準備をしている、
が、矢の先には恋文がくくりつけられている。
お兄さんの後ろにはナス畑。
(ナスノヨイチ・クイズのヒント)
今回は来てないけれど、
江戸のお姉さんたちが洗濯物を干す風景。
画面の上に和歌、
「はるすぎてなつきにけらし、しろたえのころもほすてうあめのかぐやま」
絵に書き込まれた和歌が、きちんと解説版に載ってたのが良かったな。
かなり読めるようになったとはいえ、まだまだ未熟。
後半はしっかり疲れてしまった。
字を読み解くのと、
歌の意味を読み解くのと、
そこから「ずらし技」をかけてくる絵の意味を読み解くのと・・・
しかし、ここは幸福な世界だ。
楽しげな謎かけと、
それを無視しても楽しめる美しい色と、
美しい江戸のお姉さんと、
(お兄さんもお姉さんも見分けがつかんので、
下手をすると衆道に走るかもだな)
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おまけで開催されてた、妖怪画幽霊画。
妖怪画はまあまあ楽しめる。
「百鬼夜行図」は力量が無いが、
ヘボイ音で懐メロな感じ。
若冲もあるけど、う〜ん、
まあ、一見の価値はあり。
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