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2018年07月15日01:10

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腕自慢プログラマーは、多かれ少なかれ自分を神格化している

サイバー犯罪に限らず、腕自慢のプログラマーは多かれ少なかれ自分は神だと思っている。

自称神プログラマーが業務上のルールを守らないことによって発生するシステムトラブルはけっこうあるが、プログラマー依存の現場が多く抑止出来ない。

ファンタジー系RPGやマンガには、強大な魔法を根拠として世界を支配したがる悪役がよく出てくるが、なんでもコンピュータが入っている世の中、腕が良いプログラマーはある意味魔法使いと同じになる。

しかし魔法使いが全員善人というわけではなく、悪しき魔法使いや、そこまでワルじゃなくても他人が魔法の中身を知らないのを良いことに手抜きする人はけっこう居る。



システムは極論すれば、口頭であれやってと言って発注する顧客と、動くブツを作るプログラマーが居れば出来てしまう。

しかし、いかなる要件と仕様に基づいて動いているかの仕様書・設計書が無く、本当に仕様やセキュリティやパフォーマンスの基準を満たしているのかのテスト証跡がないと高い確率でトラブるし、障害発生時の復旧が難しい。

作った当時のプログラマーが居なくなったらメンテ不可能で、結局プログラムごと捨てる破目になるシステムはしばしばある。具体的な社名は言えないが、けっこう大手の企業のシステムでも普通にそういうことはある。

そういう酷い状況になると分かっていても、ドキュメント作成やテスト工程を省くと安く出来るので、システムの中身を理解していないお客さんだと安ければ安いほど良いと判断することがけっこう多い。
なんでこんなにかかるの? A社さんはもっと安く出来るって言ってるよ! という会話は日常的にある。お客さんが安く早くを最優先にするなら、他の面は手抜きするのが必然ではある。

土木建築だとそういう途中の工程をすっ飛ばすと建築物が壊れたり人が死んだりするから中間工程をすっ飛ばし難いように様々な公的な基準や検査があるが、システムは基準となる技術がしょっちゅう変わるから公的に検査し難く、工程飛ばしやダンピング級の見積もりが発生しやすいので、結果として鬼残業や不可解なトラブルが起きやすい。



発注するお客さんとしては、システム開発側から仕様の質問やテスト結果の確認を何度も依頼されると鬱陶しいので、これやっといて、あれどうなった? で腕自慢のプログラマーに丸投げする方が楽で良い。

プログラマーはプログラムを作ることが仕事なので、それが業務的に正しいか、安全基準を満たしているか、モラルに反していないかはあまり気にしていない。お客さんや上流の設計者がこう作れと言ったらその通りに作るのがプログラマーの仕事だから。

なのでデータベース項目に個人情報やクレジット番号が入っていようが、本番サーバのアカウントが使い回しになっていようが、プログラマーはあまり気にしていない。プログラマーが気にしているのはプログラムが速くて美しいことが主で、プログラムで何をするかは大したことではないから。

腕自慢のプログラマーとしては自分が間違うわけないと思っているので、極力ドキュメント作成やテストや上長による確認は減らしたい。どうせ出来てるのに余分な手間をかけるのは無駄だと思っているプログラマーは実はかなり多い。

楽したいからざっくり丸投げなお客さんと、プログラミングにしか関心がないプログラマーの組み合わせは、運が良ければ最少予算最短工期で作れるが、大抵は何がしかマズイ事態になる。

楽したい王様と自分は万能だと思っている魔法使いの組み合わせによる失敗はかなり多い。
そういう事例が多数あっても止められないのが人間の性。



IT業界がブラック常習犯でSEに35歳限界説があり、実際に神経を病む人が多いのは、システムの中身に興味がなく、予算と工期だけ切って結果を出せと丸投げしてくる顧客と、魔法が使えるヤツが一番エライという基準で動いているプログラマーに挟まれて磨り潰されるのが中間管理職の立場だからだと思える。

30歳ぐらいまでは、肩書がSEでも実際にやってることはほとんどプログラマーなので、言われた通りに動くプログラムだけ作っていれば良いから肉体的にはキツクても意外と精神的にはそうでもない。

しかし30代中盤ぐらいになって現場責任者の立場になってくると、仕様の考慮漏れがあったり、他社と認識違いがあったり、外部とやり取りしているデータに入っていてはならない個人情報が混ざっていたり、本番環境でトラブルがあったら対処しないといけない。

なのでそういう立場になった時に一気に潰れる人が多い。プログラマーはプログラムが作れるだけで仕事を仕切れる人ではないから。つまりSE35歳限界説は、正確にはプログラマー35歳限界説になる。

日本の職場は年功序列なので特にそうなりやすい。アメリカ型だと職能によって職場が分割されているから、職能がプログラマーの人は30歳でも40歳でもプログラマーだが、日本は年功序列人事なので、30代になったら職能がプログラマーで管理職適性が無くても現場主任とかをやらざるを得ない。

現場のリーダークラスがプログラミングしか出来ない人だと、当人も下につく部下も不幸なことになる。



10代の間にIT技術があれば神として振る舞って良いという発想が広がっているならば、たぶんIT業界は丸投げ顧客とプログラムさえ動けば良いと考えるプログラマーの組み合わせが増えて行くはず。

今のIT企業の若手は、驚くことに就職するまでPCを使ったことがない人がけっこう多い。使ったことはあっても所有していない人はザラにいる。IT企業に就職してるのになんで? と思うが、大抵のことはスマホで事足りてしまうので、わざわざ高い金出してPCを買う必要はないと考えているからそうなる。

IT企業は大抵は全学部全学科で募集をかけている。なにせSEはたくさん入ってたくさん辞めるのが当然なので、理系に絞るとさっぱり定数を満たせないからそうなっている。

しかし学校の実験や実習でPCを操作してマクロコマンドやプログラムを組むところまでやったことがある理系の学生と、スマホしか触ったことがなくてメール書いたこともありませんという文系の学生とでは雲泥の開きがある。

特にデータ構造やファイル構造を隠蔽するユーザーインターフェースになっているiPhoneしか触ったことがない人は、なかなかプログラミング作業に習熟しない。

IT業界に入ってくる新卒に、プログラミング出来る神とプログラムってナニ?レベルの下々の民の格差があるので、神は増長しやすくなるし民はモチベーションを失いやすい。

神と民が同じ現場に居ても連携が取れないので、神は神、民は民で各々勝手に作業を進める傾向が強くなるのではないかと懸念される。神はいちいち民に教えないし、民は神が何をやっているのか理解しようとしないから。



基盤となる技術が数年サイクルで大幅に入れ替わることが多いIT業界は、年功序列と大変相性が悪い。新卒一括採用とも相性悪い。必要な時に必要な技術を持っている人材を必要なだけ雇う方針じゃないと、IT業界は脱ブラック出来ないだろう。

プログラマーとして腕が良くても中間管理職としてはさっぱり使えない神が少なくない点でも、IT業界は年功序列と相性が悪い。

ITスキルがある10代が「神」として別枠扱いになる空気感だと、たぶんITの現場の人材ミスマッチ感はもっと酷くなる。

発注する側の顧客や、若い世代全体にプログラムを理解する技能があれば、神の専横や魔法使いがいい加減に仕事することを抑止出来るが、発注する立場は年功序列ベースなので今さらプログラムスキルを身につけないし、若手全般はiPhoneしか使わないので魔法の中身が何なのか分からない。



■サイバー犯罪検挙、10代増加 違法行為を「神」と称賛
(朝日新聞デジタル - 07月14日 20:29)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=5200769
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