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2018年06月16日09:44

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マスターができるまで 久々 1436

母の話は回りくどかった。
俺は
『その話しならもう何遍も聞いたわ』
と遮り、
『それでアレじゃろ
次第に容態が悪うなったお爺ちゃんが、ゆうさんやみんなの進めを退けてタジマに入院して、それで、結局、治らんで死んでしもうたんじゃろ、、、
ゆうさんが怪しげな拝み職のおばはんに聞いて来た病院に入れとったら助かったかもしれん言うんじゃろ、、
じゃけどあくまでそれはお婆ちゃんがゆうさんの話しじゃけん、ささなんだ言うんじゃろ、、
何遍も聞いたわ
今はシゲの話しが一番なんじゃ。
そがな古傷のような話しをシゲのお母さんにしても仕方ねぃが』
と言った。
母は
『ふん』
と鼻先で笑うと
『ゆうさんが拝み職のおばさんに頼んだ事は嘘じゃねぃよ、
一応はそういう事になっとる。
でもそれは本当は違うんじゃ。
それをさせたんは、、、』
と言いかけた。
その時、父が
『おえ、
ええがな』
と遮った。
母が
『ええ事ありゃへん
ヨシヒロももう理解できる年じゃ
これがええチャンスじゃ
白黒つけましょ』
と言い、
『あれはな、、、
本当はお爺ちゃんご本人が頼んだ事じゃったんよ』
と言った。
俺は
『は?』
と、聞き返した。
すぐには、母の言っている事が理解できなかったからだ。
母は
『お爺ちゃんは心のどこかでタジマを信用しとらなんだんじゃ。
お婆ちゃんや美保子さんの手前、タジマ、タジマ言うとられてじゃったけど、内心ではご自分の病気はタジマでは治せんと思うとられたんじゃ。
ゆうさんに頼んだ拝み職のおばさんの後、あのお爺ちゃんが私に頭を下げてまで
「もう一回、アンタの実家の近所の、あのよう当たるいうオスギさんというお婆さんに見てもらえんじゃろか、
オスギさんのお見立てじゃったら久子(祖母の事)にも、美保子にも角がたたん。
ゆうさんのアレは失敗じゃったわぃ、、」
そう言われたんよ、、、』
と言った。
俺は今更に明かされる祖父の病気の顛末に驚きを禁じえなかった。
シゲへの杞憂は一時遠のき、
『それで』
と母に先を促した。
シゲの母親は困惑したような顔をし、ナツコと目配せしていた。
我が家の秘匿話にどこまで自分達部外者が立ち入って良いのか判断がつかないからであろう。
母は
『オスギさんのお見立ても、ゆうさんの拝み職のおばさんと同じじゃった。
岡大に即入院させたら、今なら助かるいう見立じゃった。
それを私はすぐさまお爺ちゃんとお婆ちゃんと実さんの前でご報告したんじゃ。
お爺ちゃんは
「そうか、、
ならば今回は、、、」
と言いかけられたんじゃ、
その時、お爺ちゃんの行く手を遮るように
『そがな他人ばぁのトコへいってどがんしますぞな。
ウチじゃたら至れり尽くせりですよ」
言うてお爺ちゃんの出鼻をあっと言う間に砕いたんが実さんじゃった。
お婆ちゃん言う人はああ言う人じゃからご自分が損をせんかぎり我関せずじゃし、、
お爺ちゃん、相当がっかりなさったんじゃろ
「そうじゃの
実さんの言う通りじゃの、、」
言われて泣くような顔をなさって入院なさったわ。
それで結果はあのザマクレじゃ。
あっと言う間に死んでしまわれた。
ようするにカサハラさん!』
と不意に母がシゲイチの母親の名前を呼んだ。
いきなりだったので、他の事でも考えていたのかシゲイチの母親は
『は
はい』
と、どもった。
母はヒタとシゲイチの母親の目を見つめ
『あのタジマはろくでもねぃヤブです。
ザルソカインたら言う怪しげなクスリをばんばか投与して一時的に患者を元気にさせる事
くらいしかできんマヤカシモンの医者とも言えん医者です。
じゃから今回、おくさんがあのタジマから見放された言うのはもの凄くラッキーいう事じゃたんですで。
シゲ君、これで一命を取り留めましたわぁ』
と言った。

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