「ごろごろごろりん。」
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自作発言は厳禁です。 ※
当作品は「二方美人。」シリーズの1つです。シリーズ内の他作品を知らずともある程度意味は通じると思われますが、第一作である「二方美人。」(
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1958862956&owner_id=24167653 )にあらかじめ目を通す事を推奨しています。
なお、時系列は「無事、全員の就職及び卒業が決まったため、卒業旅行に行くための予定を考えている段階」であり、具体的には「メインキャラ達の大学四年生時の1月終わり〜2月頭」頃です。
また、シリーズ内作品を時系列順に表すと、以下のようになります。
「二方美人。」→「暁の欠片。」→「まあ好きっちゃ好きかもね。」→「ごろごろごろりん。」(当作品)→「卒暁慮考。」→「天下唯双。」→「恋花。」→「珠玉の真面目。」→「閑話久題。」
(シリーズ内作品まとめへのリンク:
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1964303733&owner_id=24167653 )
【登場人物】(男女→1:4)
生徒世 燦花(いくとせ さんか):女性。本作で一番ごろごろしている人。
小幸 雪那(さゆき せつな):女性。本作で唯一苗字で呼ばれる事があり、また、本作で割と神経を使っている人。
遊語 鎖鳥(ゆうご さとり):女性。本作でけっこうごろごろしている人。
光画 月夜(こうが つくよ):女性。本作で割とごろごろしている人。
香架 浦風(こうが うらかぜ):男性。本作で一番神経を使っている人。
【想定時間】
15〜20分程度。
【本編】
鎖鳥「…はい。とりあえず卒業旅行の予定は殆ど決まったね。大体の行動予定も決まったし、ホテルも2泊3日で2部屋予約取れたし…後何かあったっけ?」
燦花「んー…。」(眠そうに)
雪那「えっと…今のところはもう大丈夫なんじゃないかな。」
月夜「持って行く物を決めよう!」
浦風「それは別にわざわざ今決めなくても良いだろ。…今は見るからに燦花(さんか)が限界近そうだ。」
燦花「ごめんなさい、昨日あんまり寝られなくて…。」
月夜「そうなのか…。何かあったのか?」
燦花「だって5人でちゃんと会うの初めてでしょ?楽しみで楽しみで。」
月夜「そういう事か。」
浦風「まだ15時前、時間自体はまだあるが、とりあえずある程度話はまとまった以上、もう解散にするか?」
燦花「何を言っているの?今日という日は皆の卒業と内定の祝勝会でもあるんだから!むしろ今からが本番でしょ!」
鎖鳥「急に元気になって。燦花(さんか)が良いなら良いけど。」
雪那「無理しなくて良いんだよ…?」
燦花「ありがとう。でも大丈夫。改めてこの5人がみんなちゃんと卒業も就職も決まってくれて本当に良かったから、ちゃんとお祝いしたくて。みんなおめでとう…。」
雪那「そっか…ありがとう。」
月夜「うむ!後は卒業式を待つのみというのはめでたい事だ。」
鎖鳥「そうだね。私と雪那(せつな)がせっかく就職決まったのに、月夜(つくよ)さんが卒論間に合わなかったら笑えなかった。」
浦風「締切前日までかかるとはな。」
月夜「くくく。それだけあって教授達はその出来に感激している事であろう…!特に第三章から第五章までのあの」
浦風「月夜(つくよ)。」
月夜「ん?」
浦風「ご苦労だったな。」
月夜「うむ!」
鎖鳥「ところでその祝勝会って、このまま学食でするの?」
燦花「駅前にボードゲームで遊べる喫茶店があるでしょ。久しぶりにあそこ行きたくて。どうかな。」
鎖鳥「良いんじゃない。」
雪那「あ、あのお店、私も久しぶりに行きたい。」
月夜「私はどこでも構わんぞ。」
浦風「同じく。」
燦花「良かったぁ。実は団体一組3割引きの券持ってきてるんだ。」
月夜「3割引きとは良い響きだ。」
月夜「おお、このお店、久しぶりに来たが前と雰囲気は変わっていないな。良いものだ。」
燦花「私もけっこう来られてなかったから、このお店の雰囲気なつかしいなぁ。……さ、さ。あらためてみんな、おめでとう!それで最初は何しよっか。」
浦風「その前に、このお店はどういう仕組みなんだ?」
燦花「あれ、浦風(うらかぜ)君初めて?」
浦風「ええ。」
月夜「そう言えばそうか。私も燦花に誘われなければ来る事もなかっただろうからな。」
燦花「えっと、ここのルールはね。時間内なら他の方が使ってないボードゲームを何でもテーブルに持って行って遊んで良いけど、一度にテーブルに持ってきて良いのは1つまで。あと、ゲームごとに決められた所定の時間以上そのゲームを使っている場合、他の方からの要請が来た段階でなるべく早く切り上げて、すぐに譲ること。」
浦風「それはそうか。」
燦花「それと、受付でもらった籠(かご)に腕章が人数分入ってるんだけど、この腕章、表の青色が『声かけOK』の印(しるし)で、反対に裏の黄色が『声かけNG』の印(しるし)なの。」
鎖鳥「一緒にゲームをしませんかとか言いながら、本当はナンパしたいだけの輩(やから)もたまに居るからね。」
浦風「なるほどな。俺達はどうする?」
雪那「せっかく5人も居るんだし、知らない人とするのも怖いから…。」
月夜「そうだな、5人も居るんだ。人手が足りなくなる事もないだろうし裏面の『声かけNG』で大丈夫だろう。…ちなみにねじって表面と裏面が両方見える状態にしておくと『同性の相手からの声かけのみOK』という意味となる。今回は必要ない話だがな。」
浦風「独自ルールを知らないと苦労しそうだな。」
鎖鳥「燦花が断ってなかったら、最初の受付でその辺りをちゃんと詳しく教えて貰えたんだよ。」
雪那「そうだね…。私と鎖鳥(さとり)さんが燦花さんに連れられて初めて来た時も断っちゃって。あの時は焦ったよ…。」
燦花「ごめんなさい…。だってつい楽しくてすぐに席に着きたくて…。」
月夜「…それでな、その時私が何気なく言った事を覚えていてわざわざアイスを作って持ってきてくれたんだ。」
浦風「…あ”ぁ”ー…。」
鎖鳥「この前偶然その話聞いたけど、結局ちゃんとできたんだ。2人とも良かったね。」
雪那「初めて作る物は何でも難しいのにすごいよね…。」
燦花「みんな、スターパッセージ持ってきたよ!テーブルの真ん中空けてー。」
雪那「スターパッセージ!やっぱりここに来たらスターパッセージだよね。」
燦花「人数問わずできるボードゲームの定番だもの!ルール知らない人は居る?」
月夜「…居なさそうだな。」
浦風「そのゲームなら昔した事がある。」
燦花「ふふ。ちょっと待ってね。やっぱり本気で勝ちに行くためにはこの眼鏡かけないと。」
月夜「くっ…。やはりその眼鏡。羨ましい…。」
鎖鳥「前から気になってたんだけど、よくかけてるその紫色の眼鏡、何か特別な意味みたいなのがあるの?」
雪那「鎖鳥さん!その話は」
燦花「この眼鏡はね!卒業旅行でも行く予定の愛知県西尾市(あいちけんにしおし)の記念碑が作られるきっかけになった、数年間に渡って愛知県西尾市周辺を襲った怪奇現象から人々を助けて回ったとされる謎の人物『紫色の眼鏡をかけた少女』が実際にかけていた眼鏡を、多くの目撃証言を元に忠実に再現した」
浦風「燦花。」
燦花「うん?」
浦風「やりながら聞くからとにかく始めよう。」
燦花「…はぁーい。」(わざとらしくふてくされた感じに)
月夜「その眼鏡は私も欲しかったものの、抽選に外れてしまってな。そもそも燦花と仲良くなったのも、私が当てられなかった眼鏡をかけている人物を発見したからで、そう、あれは1年生の頃」
鎖鳥「月夜。」
月夜「ん?」
鎖鳥「ローカルルールはどうする?けっこう大人数だし、シャッフル2回、1行動ごとの制限時間は30秒で大丈夫?」
月夜「ああ!私はそれで問題ない!」
雪那「私もそれで大丈夫!早速始めよ。」
鎖鳥「…ねえ、これ、どっちが有利?」
浦風「まるで分からん。」
月夜「燦花はこれで守れてるのか…?」
雪那「……っ…だめだ。降参です。」
燦花「…ふぅー。危なかったぁ。」
雪那「今回は行けると思ったんだけどなぁ。」
燦花「うん…序盤で差をつけられてそれがずっと苦しくて。終盤でアネモネをユリと交換できなかったら多分そのまま負けてたよ。」
雪那「やっぱりそこかぁ…。あの状況ならアネモネが持って行かれても耐えられると思って攻めの速度を優先したつもりだったんだけど、ちょっと急ぎ過ぎたかな…。」
月夜「…燦花がやたら強いのは知っていたが、雪那(せつな)までこうも強いとは…。高次元すぎてまるで攻防が理解できん…。」
燦花「地域の交流会とかでも、ここ何年かは先生以外にはほとんど負けてないのよ。」(少し自慢げに)
雪那「私は小さい頃から家族でよくしてて、今でもたまにやってるから自信はあるんだけど…燦花さんにはまだ勝てたことなくて…。」
鎖鳥「こんなだから、私と雪那と燦花の3人で来る時はいつも私が最下位でつまらないの何の。…でも今日は5人だから月夜と浦風君が協力してくれればまだ勝機が…一応あるのかな。」
月夜「それは良い考えだ!3人掛かりなら…。それで2人を倒した後ゆっくり3人の中で決着を着ける。浦風もそれで良いであろう。それしかない。」
浦風「…そうだな。一応やるだけやってみるか。」
雪那「それだと戦略の練り方が大分変わってくるから…。どういう立ち回りが求められるんだろ…。」
燦花「…。」(寝息。)
雪那「とりあえずスズランの維持が重要になってくる事は確かで…燦花さん?」
燦花「…。」(寝息。)
鎖鳥「…燦花ー。」
浦風「寝ているのか。」
月夜「…いやまさか……っ本当だ。さっきまであんなに元気だったのに。」
燦花「…。」(寝息)
鎖鳥「あー…。そういやあまり寝てないって言ってたっけ。」
月夜「ああそうだ、とりあえず危ないから眼鏡外して……痛ぁッ!」
燦花「…ふぎゅ…んぅ…。」(寝言)
鎖鳥「…あざとい。」
雪那「…うん。」
月夜「ぅぁっ…くぅ…。お前達!そんな事より今、私は奇跡的なタイミングで頭突かれたんだぞ!心配しろ!」
浦風「大丈夫か?」
雪那「あ、ごめんなさい…大丈夫?」
月夜「あぁ…まあ痛いが大丈夫だ…。」
鎖鳥「良かった。」
燦花「おいしぃ…。」(寝言)
月夜「こいつ…。」
鎖鳥「ほら、起きて。燦花。起きて。」
雪那「燦花さん、燦花さん。ちゃんと立てる?」
燦花「…うぅ、ん、んん…?……大丈夫大丈夫…。」
雪那「…一人で帰して大丈夫かな。」
鎖鳥「大丈夫なわけないでしょ。傍から見たらアルコール入ってるようにしか見えないよ。」
月夜「いやあ、雪那の親が迎えに来てくれたから良かったものの、大変だったな…。」
浦風「ああ。燦花に会ったのは2回目だが、あんな一面もあるんだな。」
月夜「あいつは普段はしっかりしているんだがな。…今日は本当に5人で会うの楽しみにしていたんだ。課題の件以降、私が何度あの2人の話を聞かされたことか。」
浦風「みたいだな。」
月夜「…それで眠れなかった癖してあんなにはしゃいで、挙句寝こけて。全く、お陰で私は眼鏡を外してやろうとして何度も頭突きをくらって…。こんなどたばたした日は久しぶりだ。………む。」
浦風「ん。」
月夜「なんだメールか。雪那からだ。家の前まで送ったところ、燦花は寝ぼけながらもちゃんと家に入っていったそうだ。」
浦風「みたいだな。俺のところにも同じ連絡が来た。」
月夜「…それでな。あいつは普段はしっかりしているものの、意外と抜けてるところもあるから、たまに心配になるんだ。」
浦風「そうだな。」
月夜「…かわいい奴だろう。」
浦風「そうらしいな。」
月夜「…雪那と鎖鳥の2人は私にとって初対面だったわけだが、燦花の言うとおり良い人そうで良かったな。」
浦風「小幸(さゆき)さん…雪那さんは俺も初対面だったが、燦花と気が合うのがよく分かる。鎖鳥は鎖鳥で楽しい奴だ。」
月夜「…。」
浦風「…良い人なのは確かだろうな。」
月夜「…ああ。…さて、送ってくれてありがとうな。歩いて10分とかからないとは言え、お前も気を付けて帰るんだぞ。」
浦風「…おう。」
月夜「…。」
浦風「月夜。」
月夜「ん?」
浦風「…いや、そうだな…。もう少し立ち話しないか?卒業旅行への持参物(じさんぶつ)の件もあるしな。」
月夜「………くくくくくく、仕方あるまい。立ち話と言わず玄関まで寄っていくが良い(よい)!」
ー完ー
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