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2018年04月12日12:38

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3月の。

3月に観たのは『トレジャーハンター・クミコ』『ビューティフル・ダイ』『ダークシティ』『モーガン プロトタイプL−9』の4本。

●『トレジャーハンター・クミコ』
都会の片隅で兎のブンゾウと一緒にボンヤリと鬱屈した孤独な日々をギシギシと送る会社員クミコが、映画『ファーゴ』の劇中で雪原に埋められた札束を事実だと思い込み、その考えに取り憑かれ全てを投げ捨てて単身メリケンまで掘り出しに向かう話。
主人公のクミコ。恐らく何らかの発達障害か適応障害なのだけど、人付き合いが上手く行かず仕事先では疎まれ、田舎の母親には結婚するか戻って来るかを迫られ、構って呉れる友だちを避けて逃げ続け。超がつくほど不器用、社会不適格者の域に達してる彼女には、この社会は生きるのが少し難し過ぎて。
世知辛い日々の中、唯一の救いだったブンゾウともお別れするのだよね。メリケンに行かなきゃならないから。ぽろぽろ泣きながら。このシィンがもうヒタスラ切ない。彼女の『命綱』だったのだよね。
それと、メリケンから母親に掛けた最後の電話も泣ける。『コレが自分にとってどんなに大事なコトか』をたどたどしく訥々と説明する彼女。判って貰いたくて。それが『自分の話を聞いて呉れない』絶望と諦念に変わってゆく。母親も悪い人じゃ、ない。でもコレが恐らく、彼女が切った最後の命綱。
図書館の警備のヒトとか、あとメリケンで会ったヒトたちも、いい人はたくさん居たのだよね。「何とか君の助けになりたい」て云う警官のヒトとか。救われるチャンスは幾つかあったのになぁ。て思う。
とは云え、旅が終局に向かうにつれてどんどん純化されて張り詰めてゆく空気は何とも云えず、いい。破滅譚ではあるけれどスッキリ明るいラストも、好み。アレは明らかに製作者が用意した『救い』。ああ云う『明るいアンチハッピィエンド』好きなのです。この畳み方、めっさストライク。ウサギがねー。
てワケでテキトーに借りたけど予想外に好みでしたです。いっこだけ、最初の地図とテープは誰が用意したのかちょと判らなかったな。やぱ自分で?アト特典映像の『ウサギのオーディション風景』ちょと笑って仕舞った。延々といろんなウサギを映し、『不合格』印を押してくの。かわいいし、おかしい。

●『ビューティフル・ダイ』
恋人が殺人鬼だったコトがトラウマとなり、アルコホルに逃げて居たサラ。依存症の自助集会で出会ったケヴィンと徐々に仲を深めてゆくが、一部からカルト的崇拝を集めるかつての恋人ギャリックが脱獄したニウスを聞き、身の危険を感じて……的な話。
この筋書きだけ読んでね、90分足らずの映画でね、脱獄した元彼が主人公の近辺に現れるのに1時間掛かるとは思わなかった。まぁ主人公の今の境遇とかね、ギャリックの殺人道中とかね、その過程を丁寧に描いては居るのだけどでもどうすんのコレもう尺がないよ……とか思ってたのですよ。終盤まで。
終わって見れば時間配分バッチリでしたよ。イヤこの展開は思いつかなかったな。冷静に考えればそんな奇抜なアレでもないハズなのだけれど何故か思いつけなかったのです。演出と演技でしょうかね。
ギャリックは殺しを『苦しんで』居るのですよ。その描写は冒頭から出て来る。シリアルキラーとしてリアルなのと同時に、サラの感じて居る危惧とのズレが其処には見えるのです。アトから思えばね。
時間軸が過去と現在を行ったり来たりするのはまぁ典型的ではあるけれどちょと判りづらい。ギャリックが髭面なのが過去、みたいなサインはあるけれど過去か現代かの把握にタイムラグが生じる。プラス、クローズアップが多くてそれもぼやけてブレて何が起きてるのか把握しづらい。ただ、ギャリックが作った屍体をハッキリ見せないのは、まぁ何らかの配慮かもだけど想像と、逆に緊迫感を与えてたと思う。
キャラクタでは、旅の途中のギャリックに対して「送電線には共産党員用に造られた中継器が入ってて車の屋根がプラスチックだと考えを読まれるぞ」て力説して来た気の狂った爺さんが好きでした。

●『ダークシティ』
午前0時になると時間が止まる街。再び時間が流れ始めたトキ、ホテルの浴槽の中で目覚めた男は全ての記憶を失って居た。部屋には渦巻き模様が刻まれた女の死体。電話が掛かって来て男の声が云う「君の記憶を消して仕舞った。すぐに其処から逃げろ」……そんなん。
ええと。ヒトコトで云えば『ウルトラマンの出ないウルトラマン』かな。侵略者及び彼らに協力する内通者の存在は映画冒頭でアッサリ語られるのでアトは主人公の立場でアタフタすればいい映画です。
ガジェットはカナリ好みでした。巨大な顔のオブジェが観音開きになって出て来る時計とかね。執拗に追って来る顔色の悪い男たちとかね。スチームパンクぽい注射器とかね。夜な夜な街の全てを止めて『何か』をしてるっぽい侵略者。ちょとだけ『あなたはだぁれ?』を思い出したな。ウルトラセブンの。
思い出したと云えば最初は脱出ゲームみたいだなぁと思いました。意識を取り戻して、記憶がなくて、部屋を漁って服とかカバンの中の絵葉書とか幾つかアイテムを見つけて……みたいな流れがね。
協力者である博士、カバンに『捏造された記憶』の詰まった注射器を一杯詰めて居て、時間が止まってる間に住民の額に次々と刺してゆくのだけれど「……順番間違えたりしないのかな……?」て少しだけ心配になったのですよ。誰にどの記憶を流し込むか、しっかり決められてる感じでしたのでね。はは。
アト注入した記憶に合わせ新たにビルを生やしたり部屋を広げたり、街を造り替えるのだけれどそんな力を持って居ながら住民の衣服だけは何故か手作業でちまちまと着替えさせてるのが少し面白かった。
全体的な流れもケッコウ好きでした。それだけにラスボスバトルは残念だったかなぁ。たるい超能力活劇みたいな感じで陳腐だった。街の正体とか、ラストのシェルビーチとか、よかっただけにちょとね。

●『モーガン プロトタイプL−9』
人工DNAを持ち、神経系にナノテク装置を仕込んだ実験体である少女モーガンは地下の実験施設に幽閉されて居るが『事故』を起こして仕舞い、本社から危機管理担当リーが派遣される。リーの目的は事故の評価、及びプロジェクトの進退決定。的な。
この流れだけを読むと人造人間大暴れの、フランケンシュタインコンプレックス的なハリウッド風パニックアクションを想像するけど実際は全体的に静かで重くて、そして綺麗で哀しい映画でしたよ。
普段は物静かで理知的ながら、不合理な状況下でストレスを与えられると感情を押さえ切れなくなり『エラー』を起こして仕舞うモーガン。研究所の面々は人として、『家族』として接して居るが、リーと共に派遣された心理学者はモーガンの神経を逆撫でし、再びエラーを起こす。耐久試験だよねコレ。会社組織が行う評価試験としては、正しいのですよ。会社にとってはモーガンは人ではなく『資産』だから。
で、そのテストに不合格となったモーガンを研究所のメンバーは守ろうとするが、心理学者によって絶望を与えられた彼女は大切な存在だった『家族』を次々と殺してゆく。この辺はヒタスラ哀しい。非人道的な目的で造られたモノをハンパに人間扱いしたコトが招いた悲劇、て云えばその通りなのだけれど。チェン博士に対するモーガンの「教えて呉れればよかったのに。私の正体を」て云うコトバの通り。
リーの正体には、彼女がチェン博士に会った辺りで早々に予想がつくけれど、そしてラストもそれで締められるのだけれど、何かもうひとひねり欲しかった気はしたな。何を?て訊かれると困るのだけれど。まぁでもモーガンと『家族』の運命で充分に映画としての完成度は高いから、其処はオマケでいいや。

●●●
月間賞は『トレジャーハンター・クミコ』に。
映画全体もよかったけどとにかくラストシィンが好み過ぎた。どストライク。
次点で『モーガン プロトタイプL−9』も入れとこっと。
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