き…煌びやか

一寸気になる所があったので、こんなCDを手に入れた。
漫画映画のサントラである。
封切日1995年7月15日…
もう、23年も前の映画なのか。

この作品では、主人公の祖父の仲間達が（多分）アマチュアの古楽器アンサンブルを編成している。



その古楽器コンボで主人公達の伴奏を行うのだが、これが実に風情がある。



Country Road (Violin Version) from Whisper of the Heart



Whisper of the Heart - Country Road (band cover)

アイリッシュ風の「故郷へ帰りたい〜 Country Roads」が印象深く、

　

ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、タンバリンとリコーダだと思ったら、コルネット（リコーダに似た木の笛。金管に非ず）で、主人公の少年が弾くヴァイオリンで歌う少女の伴奏に絡み合って行く。

これはこれで、非常に興味深い料理法だし、とても楽しいのだが、実は気になっていたのは別のこと。
別の挿入曲の旋律を奏でている楽器の音色が余り耳にしたことがないものだったのである。

それがずっと気になっていた。

物語の狂言回し的役割にある外国製の骨董人形の猫のテーマとも言うべき曲。

サウンドトラックの一つ、
エンゲルス・ツィマー、“Engels Zimmer”と綴り、ドイツ語で「天使の部屋」という意味なのだという。布張りの時に職人が偶然つけた細かい傷により、太陽光にあてると乱反射を起こして独特の輝きを放つと言う人形の目を指す。



この曲の旋律を奏でる楽器が、プサリテリウム。
まさに曲名をそのまま表現したかのような音色である。

この写真ではマレットが添えられているが、本作では鳥の羽をピックにした撥弦楽器として使われている。

この楽器は多くの名を持ち「プサルタリー」「プサルテリオン」「プサルター」等とも呼ばれる。
英語だとサルテリーと呼び、ロシアではツィムバラと呼んでいて、イランやイラクではカヌーンと呼ばれている。

3年程前に偶然手に入れたCDが私の音源コレクションにある。
プサルタをメインにしたCDは殆ど無いらしい。
そのライナーによるとこの楽器は…

プサルタ(Psalter)とは、木箱に24本のピアノ線を張った楽器を指す。弓を用い音を奏でる。
ギリシャ語では、プサルテリオン(Psalterion)

しかしながら、このプサルタは、「天使の部屋」で使われたプサルテリウムとは似ても似つかない音を出す。
（まぁ、フラットピッキングとアルコなのだから、当然ではある）

形状も全く異なる。
奏法もテーブルやスタンドに平置きにして上から叩いたり弾いたりする物、譜面台の様に弦を演奏者側に向けて立てて奏でる、弦を正面に向けて体に抱き込んで前方の弦を鳴らすなど様々な様である。

Wikipediaには…

元々は、「指で弾く」というギリシャ語「Psallein」から派生した言葉でハープを意味していた。
その後、「Psalterion」という名称で聖書、特に詩編に登場し、そのうち57編にはリラの伴奏で歌う賛歌の意味である「Psalmos」の名で表れ、プサルテリオンが詩編の伴奏楽器として用いられたと考えられている。
18世紀までにプサルテリオンは極めて異なった幾つかの楽器に派生していき、ハンマーで叩く打楽器は「ダルシマー」となり、鍵盤機構をつけた鍵楽器は「ハープシコード」となった。

と、ある。

プサルテリウムはハンマー・ダルシマーに形状や奏法、が非常によく似ている。
鳥の羽軸をピックに使う奏法では初速、質量共に比較にならない大きさのマレットを使うハンマー・ダルシマーとはその音色はかなり異なるのだが。



（ハンマー・ダルシマー）

海を渡って新大陸へ行った物はマウンテン・ダルシマーとかアパラチアン・ダルシマーとか呼ばれる楽器になったのだと思われる。



（マウンテン・ダルシマー）

形が全く異なり極めてシンプルに変化したこちらは、結構ラフな楽器でフィンガーストロークやギターピックなどで演奏される事が多いが、元は“鳥の羽”でつま弾かれていたらしい。

あぁ、プサルテリウムに戻ってきたぞ。

プサルタ(Psalter)
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1946785579&owner_id=258708

　

ボウド・サルテリー（Bowed Psaltery）



プサリテリウム（フィンガー）



プサルテリー（ピック）





ボウド・プサルテリー



ハンマー・ダルシマー





Amazing Grace - Mountain Dulcimer