「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」
監督・脚本 ライアン・ジョンソン
撮影 スティーブ・イェドリン
最初に「スター・ウォーズ」が公開されてから、４０年。
私が映画館に通い出したのは、この映画が公開されて、ハリウッドでスペース・オペラやSFものが数多く製作されたことが大きい。
その後、「2001年宇宙の旅」のリバイバルがあったことで、見る映画の幅は広がっていった。その時、「ザッツ・エンタテイメントPART2」との二本立て公開だったけど、ミュージカルの面白さはちっともわからず、2回めの「2001年」見たさに早く終わらないか、と思っていたものだった。そして「惑星ソラリス」。
「帝国の逆襲」を最高傑作と考える者にとって、今回の映画が「帝国の逆襲」に影響を受けていると聞けば、期待できそうに思うところ。「帝国の逆襲」でクレジットされている脚本家は、西部劇「リオ・ブラボー」(59)や「ハタリ!」(62)で、長らくハワード・ホークスの脚本を担当し、SF作家エドモンド・ハミルトンの妻であり、SF作家としても知られていたリー・ブラケットと、後に「ジェダイの復讐」や「フォースの覚醒」の脚本も手掛けるローレンス・カスダンである。
やっぱり、ジョン・ウィリアムズの音楽が流れて文字が飛んでいくと、
「ローグワン」とは違うのだった。「スター・ウォーズ」(SW)の世界である。
ただし、今回は現実世界の反映を意識した新しい流れがあって、それが「経済」と「格差」。全く現実との接点がないのが美点だったSWに、そんなものを持ち込むことは危険ともいえる。
新キャラクターは人間であり、鳥や馬のような動物は出てくるが、あくまで動物。
ドロイドの新キャラも出てこないし、そんなに活躍しない。
これは、これまでのSWとは別の傾向である。
仮面劇やマペットを用いて、多くの異星人やロボットを描いてきたものが、生身の人間しかまともに描かない。
「ジェダイの復讐」では、仮面をつけたダース・ベイダーの表情が生身の顔のように見えていたというのに(監督のリチャード・マーカンドはすごかったのだ)。
ドロイドもR2-D2は、機械語しかしゃべれず、C-3POが人間に通訳していたのにまぁ。
大体が通訳が全くいらない世界になってしまっているのは、展開を早く見せたいからなのだろうと思うが、世界に多様性が失われていないだろうか。
ライアン・ジョンソンの演出やスティーブ・イェドリンの撮影は、わかりやすい。監督は気心の知れた撮影者と組むことが多いのだけど、SWは英国のパインウッドで撮影しているのだから、英国のベテラン・カメラマンと組んでもよかったのではないか、と思う。
以前はエピソード�機銑靴盍泙瓩董▲�メラマンはずっと英国人だったのだ。(「フォースの覚醒」はダニエル・ミンデル。この人は南アフリカ出身だけど、英国育ち。ちなみにSW次回作の撮影もこの人。)
他にも英国の俳優が多く出演していたことが、SWの世界構築を堅固にしていたはず。
「LOOPER/ルーパー」(12)と同じで、見ている間は楽しめるが、見た後は結構突っ込みどころがある。
＜「間違いなく僕自身の映画だ」 『スター・ウォーズ／最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督インタビュー＞Real Sound
http://realsound.jp/movie/2017/12/post-138760.html
ともあれ、見終わって、しばらくはこれまでのSWのサントラばかりをずっと聴いていた。
今作の演奏は、ロンドン交響楽団でも、ロサンゼルス・フィルでもない。
オケの名前がクレジットされていない。
「フォースの覚醒」とファンファーレの響きは同じなので、ロサンゼルス・フィルのメンバーが中心なのかもしれないが、重心の低いロンドンの響きでは全くない。
(「フォースの覚醒」の時からフリーランスのメンバーによるオーケストラだったのですね。ロサンゼルス・フィルの音楽監督グスターボ・デュダメルが一部指揮したのだから、てっきりロサンゼルス・フィルだと思い込んでました。ちなみにロサンゼルス・フィルの本拠地はウォルト・ディズニー・コンサートホール)
ジョン・ウィリアムズも８０歳を超え、「フォースの覚醒」の作曲時には、心臓の手術も受けている。次回作までは息災でいてほしい。
今でも、ジョン・ウィリアムズの他の映画音楽をずっと聴いている。
中でも「スーパーマン」(78)がよかった。
「ジャスティス・リーグ」の中では、スーパーマンの登場シーンにジョン・ウィリアムズの曲が流れていたのである。(音楽はダニー・エルフマン。バットマンの登場シーンには、もちろんティム・バートン版の彼が作曲した曲が流れる)
「スーパーマン」の中でも最近聴いていなかった、「愛のテーマ」と「Can you read my mind?」に、涙が流れた。もう、10回以上聴いている。
最近のヒーロー映画にこんなロマンチックな場面を延々と見せることはもうない。
だから、必然的に「愛のテーマ」という文化もなくなってしまったようだ。
それにしても、歌ではなく詩にしたのもすごいことである。(後にモーリン・マグガバンが歌にして歌っていた)
リチャード・ドナー監督、マリオ・プーゾ、ディヴィッド・ニューマン、レスリー・ニューマン、ロバート・ベントン脚本の「スーパーマン」にも、そんなのアリ?みたいな場面はあったのだけど、すごく納得できたのだった。
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