くじけそうになる心をもう一度くじく
巨大にふくれあがる劣情に火をつけて
燃えかすみたいな顔して無様にあるく
悔しさを通り越すと何が見えてくるの
惨めさに寄り添うなんて余計惨めだから
合わす顔もないのならどんな窪んだ声で
つぎの言葉を呟いていられるのだろう
敵だとか味方だとか顔色で窺いを立てれば
能面みたいな表情がしっくり沁みついて
笑いや涙が充満していたいつかの日々は
溺れかけた背水の中で助けを求めている
もう戻れないから随分と諦めてしまった
腐った人種の特効薬を毎晩飲み下しては
くだらない思考は眠らせてしまったけれど
ほどけそうになる心をもう二度とほどく
結び目が甘くなり離れてしまいそうになる
誓いの中で見つめた先はどこにもなくて
望遠鏡の中で望まない遠近感に酔いながら
羽交い締めになる眼球で目蓋を貫通させる
何層もの膜を積み重ねて形成を窺っている
崩れない結び目をほどこうと籠めた力は
石ころひとつ動かせずに重力と削がれた
飛びつかれていつしか落下する昆虫が
街灯を八の字を描いていつまでも飛び交う
空中で踊りを踊るのは想像するのと似てる
翼や羽がうまく映えてこない悲しみを
羽音で掻き消すように雑踏に紛れては
何の目的も見い出せず人の中で酔っている
反吐の色は何色きっと熟れすぎた柿が
ぐしゃりと細長い針に貫通するような
きれいな破裂色が脳裡で鮮やかに見たい
きれいとはお世辞にも言えない絶望感
山頂部から眺める誰かの頭頂部には
想像の中の爆薬がいつだって仕掛けられて
血塗られた苛烈な感覚が注がれていく
狂わないようにまもるためにいつでも壊す
穏やかさのオブラートに包まれた窒息感
眼球のベクトルを上向きに抵抗させれば
脳が拒否反応を起こしそうな夢が浮遊して
この孤独で冷たい鉄の棺桶の蛹の脱け殻の
錆びて饐えた匂いの独房の嗚咽を逆流させて
肥え溜めの遡航のような軽蔑を浴びせながら
欠け堕ちた心を糞で磨きながら逝くのだと
心の雑巾に追い討ちをかけながら歩いていく
焼け焦げて焼失した方法論を思い出しながら
まるで出鱈目に見当違いなやり方で生きてる
間違いを糺すことなくぶらさがった紐帯を
首の根っこにぶらさげながら引き摺っては
自分の輪っかに囚われながら歩いていく
目減りする原資を補填する愛情の殻箱には
乾涸びてしまったのに消えない言の葉が
毒づいた色をしながら永遠を待ち続けていた
彷徨う明日の色は風の中に掻き消されても
すべてを失ってしまえばいいと思った
生まれ変わることなんて期待しなくなるまで
私の萌芽が悪だろうが偽善の灯であろうが
浮世の中で醜く光る一本の刀身であれと
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