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2017年11月17日21:51

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研究者の過酷な道

2週間ぶりに東京に戻ってきたら、実家には郵便物の山(^^ゞ。

夕食後、それをパラパラ整理していたら、喪中葉書のなかに見慣れたK君の名前があった。
とうとう親御さんが亡くなられたかと思って住所録に入力しようとしてよく見たら、亡くなったのはK君ご本人だった。享年52歳、心筋梗塞だという。

彼は僕が東京で院生をしていた時、よく一緒に飲んだ仲。有望な若手研究者だった。僕が地方に転出してからは、ほぼ年賀状だけのつきあいになった。ところがなかなか職に恵まれなかったようだ。

僕も2年間無職の時期があったが、その心理的圧迫感はハンパではない。社会から自分は必要とされていないのだろうかという思いが、絶えず心を蝕んだ。

K君は52歳までよくこの強力なストレスに耐え抜いたなぁと感心する。いや耐え抜いたのではなく、そのストレスが彼の命を奪ったに違いない。

このところ、毎年のように若い研究者から悲しい手紙をもらう。ある人は自分の論文に学界が全く反応しないことに憤って、研究をやめると通告してきた。抜刷をもらう度に応援していただけに、こちらもつらく思う。

そして近年は、毎年、K君のような年下の研究者の喪中葉書が来る。2〜3年前はそういう研究者のお母様からお電話をいただき、涙無くしてお話を聞けなかった。

研究者は「運・鈍・根」だという。この言葉は、「運」も研究者の力量だと諭している。そしてさらに近年は少子化で、大学は完全に斜陽産業となった。6年後、定年となる僕の後任人事は行われないかもしれない。若手研究者の道はさらに過酷となった。

僕には、どうしようもない無力感だけが残る。
K君へのせめてもの鎮魂として、この日記を書いた。




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