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2017年11月13日19:31

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千秋万歳と羽根突き

『看聞日記』現代語訳の作成も授業で扱っている箇所を越えた。
勤務先の『米沢史学』などに分割掲載できるのも僕が定年となるまでで、一四二五(応永三十二)年条の分までしか掲載できない。
この後の分は、どうしようか思案中。

さて『看聞日記』一四三二(永享四)年正月五日条がちょっと面白い。

永享四年正月五日、晴。千秋万歳のさるろうが来て、芸を見せてくれた。いつものように褒美を与え、酒を飲ませた(中略)。

近衛・春日ら宮家の女性たちと長資・隆富ら男共に分かれて、羽子突きの勝負(※)をした。

男の組が勝った。それで女性たちにすぐに負け態をさせた。殿中の間で酒宴となり、深夜まで飲んだそうだ。その後の酒盛りの話を後で聞いて、面白かった。

※「羽子突きの勝負」…原文では「こきの子勝負」とある。「こきの子」とは「胡鬼の子」で、羽子板のこと。

前日に伏見の千秋万歳(せんずまんざい)が来て、翌五日に同じく千秋万歳のさるろうが来ている。

さるろうは、前年に室町殿足利義教将軍に命じられて初めて京から伏見宮家へ来た千秋万歳だ。千秋万歳は、新年を寿ぐ門付け芸人で、現在の漫才の起源とされる芸能。

その後、宮家の人々が男女に分かれて羽根突き勝負をしている。それで男の組が勝って、負け態(罰ゲーム)で女性たちに酒を奢らせている。男性対女性で勝負するのは、ややアンフェアのように思うのだが、。。

酒井欣『日本遊戯史』(拓石堂出版、659頁)では、この記事を「羽子板」の章冒頭で用いているので、これが羽根突きの初見史料かもしれない。


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