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2017年09月24日14:06

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ベートーヴェンのビブラート

9月20日 オーケストラ・アンサンブル金沢第393回定期公演
 指揮 井上道義
 ペルト : ベンジャミン・ブリテンへの追悼歌 (1977/1980)
 ベートーヴェン : ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 Op.61/神尾真由子[Vn]
 ベートーヴェン : 交響曲 第6番 ヘ長調「田園」Op.68


やっぱり生はいい。

アルヴォ・ペルトのブリテンへの追悼歌は、ECMから出ているCDをかなり昔から聴きこんでいたが、生で聴くのははじめて。

舞台を見ると、鐘がない。鐘が重要な曲なのだが。。。

演奏がはじまると、鐘は舞台裏で鳴らしていた。
小編成の弦楽器のみで演奏されるので、鐘が舞台に出ると音が大きすぎるのだろう。
短い曲なので、あっという間に終わってしまうのだが、悲痛なメロディーのシンプルな繰り返しによる多層感に十分満足。


ヴァイオリン協奏曲
神尾さんの演奏。なんという音色。

ビブラートが濃厚で、弓の弾き終わりまでついている。(弓で弾き始めにはビブラートつけていても後の方はつけない演奏の方がほとんど。)

結構ゆったりめの速度。

美しい音色という以上に、振幅の揺さぶりの幅が大きく、濃厚であり、しっとりとした情感に満ちている。背筋がぞくぞくと来ることが何回もあった。

神尾さんのデビューCD「PRIMO」を持っている。ワックスマンの「カルメン幻想曲」がメインだが、ビブラートのかけ方は今回の演奏会とは違って普通だった。

これでも、神尾さんのいつもの演奏よりは抑えているという(指揮者井上氏の記載。後のリンク先を参照)。

堂々とした、美しいだけではない演奏に、やっぱり生じゃないと、の意。


ベートーヴェンの田園。
実は演奏会で聴くのは初めてなのだった。
楽団員が舞台にあがった姿を見たら、ティンパニやトランペットがいない。
「えっ、そんなはずは・・・嵐の場面とか、どうすんだ!!」

これがまた、ヴァイオリン協奏曲とは違って、弦楽器はノンビブラート奏法だった。
テンポは速めで。ぐいぐいっと。

ホルンは右手。
ヴァイオリンは対抗配置で、チェロが中央。

井上氏の指揮は乗ってきて、踊るように手が円を描いていく。
第3楽章の途中になって、トランペット2、ティンパニ、トロンボーン2、ピッコロの奏者が入ってきた。
トランペットは席に着くなり、演奏。
田舎の人たちのおしゃべりを一括するような咆哮。

第4楽章の嵐の描写。
ティンパニが効いている。ピッコロは、ベートーヴェンが使い出した楽器だと聞いたことがある。
第5番の運命でも、第4楽章でのみ使用している。
トロンボーンとかも同様だというけど、ピッコロが一番目立つ。
ベートーヴェンは、第9でも、第4楽章の行進曲のところで初めてピッコロを演奏に加えている。
ピッコロの使い方が効果的なのだ。

第5楽章の晴れやかな響き。
とはいえ、ノンビブラートなので、そんなに響いてこないヴァイオリン。

今回の田園は、チェロの音が一番よく聴こえた。チェロやコントラバスの低弦を中心にした構成に曲を演奏していたように思う。木管楽器は、クラリネットが印象的。

恒例の演奏会終了後のサイン会。
神尾さんは帰っちゃったとのことで、井上氏のサイン会。

皆さん結構話かけていて、わたしの前にいた人は、演奏会前でホテルのエレベーターであった
出来事について話をしていた。それが何だったか、よくわからなかったのだけど、
井上氏のWebサイトに書いてあった。

http://www.michiyoshi-inoue.com/2017/09/oek_393.html#blog

自分の順番となり、意を決して聞いてみた。
「最初、ティンパニもトランペットもいなくて、どうなるのか、びっくりしましたよ。」

井上氏「田舎のおっさんたちが集まってくる音楽だから、ああしたんだ。あの方がいいでしょ。(ステージで)ぼーっとされていても、ね。」

なーるほど、そういう演出だったわけだ。

それでは、「ノンビブラート奏法」のことを聞いたら、どう答えてくれていたか、
今はそれが気になっている。

まぁ、最近のオケのベートーヴェン交響曲の演奏は、
モダン楽器でも、ノンビブラートが主流らしいようだ。
特にアンサンブル金沢のような小編成オーケストラではその傾向が強いらしい。

それでも、以前聴いた3番ではそんなでもなかったし、どういうことなのかなぁ、と思う。

それもこれも、やっぱり生だから。
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