mixiユーザー(id:280973)

2017年07月30日10:40

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『甘き人生』


 主人公の母の急死の秘密(真相)自体、早い段階からその真相は暗示されているし、何ら驚かされる要素はないのだけれど、一応ミステリー仕立てになってるから、書いちゃいけないんだろうなあ。著名な記者が書いたという原作小説は実話が基になっているらしいけど。

 母の死が不自然なものだと意識下に於いては認識しているのに、「心筋梗塞」だという父親の説明をいやに素直に信じた(ように自分自身をも偽る)のは、自分の心を守るためであったろう。孤独の中、想像力豊かに成長した主人公は、いくつもの偶然(イタリア現代史(20世紀後半)に於けるエポックメーキングな出来事に居合わす)に巡り合ったこともあって、ジャーナリストとして大成していくが、過去の影=突然母を失った喪失感と母の死の真相に向かい合う恐怖=に出くわすとパニックになってしまう。そんな彼を医師である女性が支える。

 ジャーナリストはいかにあるべきか、というのがもう一つのテーマ。サラエボの紛争地帯で、殺された母親?をよそに部屋の中で携帯ゲームをする幼い少年を母親の遺体の前に座らせて写真を撮るカメラマンと主人公。あざといようだけど、このレベルはごく普通に行われている演出であろう。サラエボでの悲劇を世界に印象付けるという大義名分も立つ。しかし…
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