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2017年07月30日10:39

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『獣道』


 宗教とAV(アダルトビデオ)、或いは性産業とは相性がいい(?)という話は聞いたことがある。そもそもアメノウズメからして芸能の神であり日本最古のダンサーというか、日本最古の「水商売の女」だったわけで。陰部も丸出しの全裸でただ踊っていただけでなく、実際は「寝た」んだろうなあ。ガードの堅い権力者アマテラスのもとに遣わされた女工作員みたいなもので。

 地方都市甲府。宗教マニアの母に育児放棄されたヒロインは、富士山麓にあるヘンナガイジンが教祖の宗教団体で育ち、その団体が摘発されたあとは様々な男や家庭の間を転々とする。自分の意思もなく流されていくのでもなく、自らそれぞれの環境に積極的に擬態するわけでもない。運命と折り合いをつけるかのように抗わずかつ自分を捨てず、つまり自分探しなどせず、でも悩んでいないわけではない、そんな少女が堕ちていく(ようでいて、あれは昇っていっているのかもしれない)様を、伊藤沙莉がナイーブに大胆に何度も脱皮しながら演じる。アメノウズメみたいにアンダーヘアこそ出してないけど脱いでます。「最終兵器女優」伊藤沙莉をお忘れなく。

 もう一人の主人公を演じるのが、須賀健太。一見普通で真面目そうな大人しい少年に見えて、実は町のチンピラたちとつるみ、暴行や薬物販売も厭わない世の中をなめた下衆な野郎を造形している。ヒロインと彼の運命は要所要所で交錯する。

 愛を知りチンピラから抜け出すことを考える少年役のアンソニー(意外な好演)や、自らの下衆さに狂わされていくチンピラ役の吉村界人も印象に残る。

 内田英治の本編作品を観るのはこれがたぶん初めて。『グレイトフルデッド』で瀧内公美(『彼女の人生は間違いじゃない』)を見い出したのも彼。前作『下衆の愛』を観損なっているのもいかんなあ。


 ところで、プロデューサーのアダム・トレルって誰? というか何?(^_^;)。トークショーで司会してたけど。入口でチケット、もぎられたけど。
 (『福福荘の福ちゃん』のプロデューサーもやってる…)


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