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2017年07月28日08:37

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暑い日の終わりの若奥さん

行動心理学...なる訝しげな分野のセミナーとやらを受講した。B型彼氏の落とし方から国政選挙に勝つまで、さまざま応用が利くとされている範疇の学問。使いこなせればさまざまな場面で役に立つ。が、ストライクゾーンが広すぎて、ソウバナ的に終わってしまうのが難点。今回は消費者行動の何とか...ということをベースにしながら、リフレ−ミングとethnography(読み方忘れた)をその方法として学んだ。ちなみにeth...というのは文化人類学的な調査方法で、自分が属する世界とは異なる文化圏やらに実際沈んでみて(どっぷりつかって過ごす)、簡単にいうと「何かしらを感じる」という方法。なるほど、と、アプローチ方法としてはナカナカだと思うが、で、結局何を知りたいの?というのが曖昧、というか絞れていない。だからなんなの、で終わってしまう、座学にはよくりがちな落とし所。こんなことやってる暇はないのになあ、などと想いながらも2時間の受講時間大人しく座っていた。

恐らく講義というのは、そんな講義もそんなもので、それは自分に特異な現象ではなく、誰もが眠くなる。特に暑さ寒さがハッシュな(厳しい)季節には余計眠い。昨日も、溶け始めた靴底に踝をひねりそうなくらい熱せられたアスファルトを20分近く歩きオフィスから最寄り駅へ。風が皆無な地上階ホームで田舎の悠長なダイヤで運行されている(つまりなかなか本数がない)ルーラル線を20分待つ。やってきた電車は走る冷蔵庫並に空調が効いていたのだが、その幸せな時間も十数分、再び、目的地ホームに押し出される。折しも帰宅ラッシュの時間帯。学生、OL、いかにもこの時間(5時前後)に帰宅可能なオジサンサラリーマン(といっても自分もその類いだが)が蠢いている。弾ける若さに寄り添う老い、時として扇情的な色気と迸る加齢臭が充満したホームを抜け、再び炎天下の路面を這うように歩き、会場である、超ソフィスティケイトされたビルジィングに辿り着く。その時点で集合時間はおろか、開演時間すらクロスオーバーしている。まだ陽が落ちていないというのにハァハァ、言いながら縋りついた席は、建物の外観に同じく見た目も坐りごこちも超ソフィスティケイトされている。そして空調も抜群。これで眠くならない方が失礼な気すらする。

ちなみに、その抗議は結構な夜のお時間まで続くので、オフィス近くで夕食を済ましていた(カレー+メロンパン2個+キャベツ太郎)。そのため余計睡魔を調子に乗らせたのだが、講義中の約2時間、眠ることはなかった。特に内容が素晴らしく、巡るめく華やかで魅力的な知識に意識を奪われ寝ている暇などありませんでした...ということではなく、講師も百戦錬磨なヒトらしく、こんなヘビーデューティーな季節に人前でしゃべると多くの人が寝てしまって話を聴いてくれない、ということを経験として知り、心のキズ的に刻まれているのか、いろいろと仕掛けてきた。オーディエンスに話しをフル、まさにコール&レスポンス的なのだが、イベントのそれは聴衆が最も盛り上がっている時であり、講師のそれはもっともダウナーな時。それはそれで緊張感とだらけた感じが混在する、味わい深い刹那だったりする。あとは、実習というなの、座学で学んだ知識をプラクティカルにするため、決して知り合いとは限らない隣の席のヒトと一緒にやる、というやつ。今回はとある『若奥さん』のインタビューを視聴し、気づいたことを取りまとめ、となりのお友達と見せあいっこをするという趣向。

その奥さん。洗濯に関するインタビューをされていた。おそらく洗剤会社のマーケティング調査かなんかなのだろう。奥さん宅には、ほぼ間取りの中央に洗濯機が鎮座。その周りには専用の棚的なものに多量他品種の洗剤・柔軟剤・芳香剤がディスプレイされている。それらがアタック、ハイビーズ...やらではなく、洋モノ。しかも、ドン.キホーテやドラックストアに陳列されているようなラインナップではなく、コストコやらテスコやら(つまりピューリタンな人々のリテール店)に鎮座するような、ハイボリュームでカラフル容器な品々。それも、わざわざ海外から取り寄せた系だったりする。ちなみに、大洗濯機様のよこはキッチンで、炊飯気電子レンジやらの類いが控え、柔軟剤だな横あたりに食器やおそらく食品を保存する用コンテナが無造作に置かれている。そしてそれら電化製品へ滋養を送る電源コードは、かなりなタコ足で、壁にぶち込まれている。
「洗剤が食品にコンタミするのでは?」
「タコ足で火事になるのでは?」
という命に係わる危機ががあるのに...というシチュエーションは、「(洗剤のためなら)死んでもいい」という思い入れの凄さを物語っていた。まあ、頭で考えて思いつく、いつかくるであろう命の危険より、ソレを着るいつかの未来や洗濯している今この瞬間に感覚的に良い香りに包まれていたい、ということだろうか。気持ちよくなるためのの生け贄として家事や腹痛など己の身を捧げている若奥さん。なかなか悩ましく、ゆえに魅力的で、かつ羨ましくもある。

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