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2017年07月23日01:17

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学問は収益事業か?公共財か?

こりゃあ面白い。

大学での授業は収益事業か、はたまた公共財かという
古来からある問題と通ずるからだ。

古来、洋の東西を問わず
理念としては
学問というのは売り物ではなく、一種の公共財とされてきた。

たとえば孔子は干し肉の束(束脩)を入学費として納めた者は
誰でも弟子として受け入れ、教えた。
またソクラテスも金をとらずに弟子を教えたという。
(そのことが妻をいつも不機嫌にしていたのだが)

ただし現実にはそう綺麗事も言っていられなくて
大学経営上、入学費やら授業料やらを
納めてもらわないわけにはいかないのだが。

それでもヨーロッパの国々ではまだこういう建前が生きていて、
大学に対しては国家から多額の補助金が出て、
授業料が無料あるいはきわめて安く抑えられているという。

またイスラム圏でも、
特に宗教教育を行う学校などだと
ワクフという一種の財団から経費が出るので
授業料は無料だという。

大学の授業がたとえば学習塾などと同じ収益事業だとしたら
部外者が大学の授業に潜り込んで聴講するなど
犯罪行為に他ならない。

しかし大学での授業、大学で教えられる知が
一種の公共財であるとしたら、
こういう覆面学生とかてんぷら学生とかモグリ学生とかいわれる
部外受講者の存在は、知が公共財であるという
古来より続いた「建前」「伝統」を守ってくれる貴重な存在である。
そして大学が塾や市民セミナーなどとは違った
他ならぬ「大学」であるというアイデンティティを立証してくれる
ありがたい存在でもある。

非常勤講師ながら大学で教えたことのある個人的経験から言っても
こういう人がクラスにいてくれたほうが有難い。

大学経営する側としては悩ましい存在なのだろうが、
教鞭を執る身としては、
正規の学生と違って単位にも何にもならないのに
わざわざ自分の時間を割き、
(たぶん)交通費を使って大学まで足を運び、
その中でも他でもない「このおれ」の授業を選んでくれて、
授業料を納めているはずの正規の学生の多くのように
おしゃべりや昼寝もせず、
真剣に授業を聴いて、熱心にノートなんかも取ってくれる。
それがどれだけありがたく、張り合いのあることか!

……とおれは思うのだが、もちろん

「俺の講義にはそれなりの経済的価値があるのだから、
受講したいならそれ相応の対価を払ってもらわねばならん。
タダ聴きなどけしからん!」

とか、

「大学の空間はその大学の私的領域であり、講義は労働である。
その領域に部外者が(学会や大学祭に参加するなどの正当な理由なく)
侵入することは不法侵入に相当し、
モグリ学生として聴講することは、教授・講師の労働に対する
正当な対価・報酬を支払わない窃盗にあたる」

という意見もあるだろう。
というか、
資本主義の論理や法の論理を厳密に適用すれば
こうならざるを得ない。

しかしシャワールームまで使うとなれば話は別である。
その大学で開かれたスポーツの大会に
選手として参加したとかならまだしも、
そういうこともなしに使っているなら、ちょっとやり過ぎだと思う。
大学の公共性にあまりに甘えすぎている。

単なる大学の「部外者」として許されるのは
聴講以外には、学食や購買部の利用、
それから(その大学が認めているなら)
図書館の使用くらいまでが限度ではなかろうか。

とにかくこの弁護士さんには、

「あなたが大学で教えることになった時、
自分の講座にモグリ学生がいたらどうしますか?」

と訊いてみたい。
――――――――――
■まったくの部外者が「大学の授業」に潜り込んだら・・・「建造物侵入」にあたる?
(弁護士ドットコム - 07月21日 10:13)

関西地方のある国立大学では、部外者が授業に潜り込んでいることがよくある。学生がスマホを片手に授業を受けている中で、一生懸命ノートをとり、教授の話に熱心に聞き入っている。聞けば、仕事をリタイアしてやることがなかったので、趣味もかねて朝から興味のある授業を受けているという。

この大学にかぎらず、入館できる建物はかぎられているものの、「見学自由」になっていたり、「関係者以外立ち入り禁止」が有名無実化しているため、あきらかな部外者の姿をちらほらとみかけるところも少なくない。なかには、大学の体育館にあるシャワールームを使っている猛者もいるようだ。

一方で、ネット上には「大学の授業に部外者が潜り込むのは犯罪か?」といった質問もあがっている。はたして、大学の授業に潜り込むことは、法的に問題ないのだろうか。また、体育館のシャワールームまで使うことはどうだろうか。齋藤裕弁護士に聞いた。

●大学側が黙認していれば「違法」とならない可能性も
「ほかの建物と同じように、大学についても、正当な理由がなかったり、管理者の意思に反して、立ち入ることは許されていません。大学の管理者は、学長や総長です。その意思に反して立ち入れば、『建造物侵入罪』が成立する可能性があります」

授業に潜り込む行為にも、建造物侵入罪が成立するのだろうか。

「問題はどのような場合に、大学に立ち入り、授業を受けることが管理者の意思に反するといえるかです。

原則としては、大学に在籍するなどして、契約上、受講する権利がある人以外については、管理者は授業に参加することを認めていないと考えられます。

ただし、大学によっては、部外者が授業に潜り込むことを黙認しているところもあると思います。

年齢などから学生でないことが明らかな人が、しょっちゅう授業に出入りしているにもかかわらず、特別な対応も取らず、そのまま授業を受けさせていたというような場合、管理者が部外者についても授業を受けることを黙認していたとみなされ、部外者による受講が違法とはならないこともあると思います」

体育館のシャワールームを使うのはどうだろうか。

「体育館のシャワールームについては、部外者にまで開放するような取り扱いが通常存在しているとは考えられません。適法とされる場合は、ほとんどないのではないかと考えます」

(弁護士ドットコムニュース)

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=149&from=diary&id=4678601
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