『赤いペディキュア』
降り注ぐ泥水と雷鳴で
傷も涙も隠されたまま
作り笑いと嘘だけで
小さな世界は悲しく回っていた
一つまた一つ
何かがはがれ落ちていく
大きい人になるためには
必要なのか足りないのか
今の私には分からないし
分かりたくもない
ただここにはいたくない
もうここにはいたくない
逃げ出した先に柵が広がるから
言葉を無理矢理奥深くにしまい込んだ
武器を取り上げられた私には
終わりを待つしかなかった
雨は降らない
だから虹も見えない
両手は汚れたまま
目は濁ったまま
夢は握り潰されたまま
何を歌おう
口が塞がれた世界で
広がる暗闇の中
かき分けてもかき分けても
足元の赤いペディキュアしか見えない
それだけしか
私に許された色はなかった
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