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2017年07月06日00:02

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空の中

 有川浩さんの「空の中」を読みました。

 以前、有川さんが書かれた「海の底」を読んだ際、あらすじの所に「空の中」に続くなんちゃらと確か書かれていたので、突如巨大ザリガニが襲来した「海の底」同様に、この「空の中」でも雲の中に潜む謎の巨大生物が襲ってくるのかと思ったのですが、読んでみると、なんと半透明の超巨大知的飛行生物と人類との接触、そしてそこから起こった事件を描いており、当初の予想を遥かに超えた展開で、「これは良い意味で予想を裏切ってくれた(^-^)」っと非常に嬉しかったです!

 そして、あとがきにて「大人向けライトノベル」と書かれていたように、非常に読みやすい文章とテンポの良いストーリー展開で、500ページを超える本なのですが2日ほどで読み終えられました。

 また、単純にテンポが良いだけでなく、登場人物達がただの良い人や、ただ頭の良い人というのではなく、年相応に持っているしたたかさや計算高さなども合わせ持っており、よく本を読んでいると、「えっ!?なんでそんな簡単な事に気付かへんねん!??」とか「そらそんな事したらアカンやろう!!」っという、ストーリーを転がす為に登場人物達がアホ化するといった事がなく、きちんと考え最善手を打ち、理性的に行動するものの、それでもやはり割り切る事やコントロールが及ばない心の問題であったり、現実的・物理的に不可避な事態によって事件が進んで行くという、必然性があり無理のないストーリー展開が、先に書いた様な点から生じる読み手へのストレスを感じさせる事なく、気持ち良く・テンポ良く読める主な原因だと思いました。

 特に主人公の祖父的な存在である「宮じい」の、その訛った口調から語られる真理というか道理の通った言葉は、本来なら怒気を含んでしまうような場面であっても、大声を出し怒鳴ったり、逆に諭したりなだめたりするのではなく、ごくごく普通の口調で語られるので、それがかえって当事者達に響き、ストーリーがおかしな方向へ行くのを防いでくれていたと思います。

 そして、本編の後にこの「宮じい」と主人公たちのアフターストーリーが収録されているのですが、それが全体を通してはSFのこの小説に、またそれとは違う意味を与え、さらに素晴らしい作品にしてくれていると思いましたね( ^ー゜)b
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