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2017年06月21日08:21

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夏至なのに...

夏至、なのに雨。見込んだ通りだ。再三日記には書いているが、夏至という、1年365日のなかで太陽が昇っている時間が一番長い日というのは自分にとってはスピリチュアルな属性を禁じ得ない。にもかかわらず、雨。しかも豪快に降っている。おそらく日中一度も太陽を拝めない勢い。一方雨も好きだ。特に梅雨の時期。夏の熱気が雨雲を陸に押し込み、分厚くなった雲の下っ腹から迸るタガが外れたような雨。まるでその激しさに焚きつけられたかのごとく、血沸き肉踊る。そんなわけで,夏至で雨だが悪くない。

採光のため一面、幅数メートル、そして2〜3メートルの高さまで一面のガラス張り。そんな仕事場からは、分厚い雨の放爆を透けてくる裏山の緑と若葉を掠める圧倒的な振り。風向きがそうだからか、なにより飛び散っている水分が多いということなのか、ガラスには宇宙ステーションからの星空の眺めのごとく、細かい光の粒がちりばめられている。その張り付いた水滴がもう少し大きければ、ナントカ派の絵画っぽくもある。人ばかり描いたり、精緻にがんばったりすることに飽きてしまった人々が始めた画風。先月そのムーブメントの巨匠というのが晩年をすごした東南アジアの熱帯というところに行く機会があった。行けば解るが、まあ、そんな偉大御仁がなぜにそんな場所で、しゃれにならない風土病の危険にさらされながらも余生を送りたかったのかがわかった気がする。決して絵心があるほうではないのだが、とくに彼の地の魅力にもっとも彩りがある雨季だったからか、魅了されてしまった。不意に振ってくる豪雨。日本の梅雨か夏の終わりのようでもあるのだが、熱帯のそれは無風で、ただただ沢山の水が重力に惹かれ地上に当たってくる、という感じ。空中の水分を地上に投げつけるという意味では表現的にシンプルであり、視線を3℃ズラしただけでも世界が変わって見えるような煩雑な景色なのかで、心地良いコントラストをなしている。直線的な雨。

が、しかし、365日で一番長い昼の終わりというのも見てみたかった気がする。直近の晴れというと3日前。早め仕事を切り上げバイパスのマクドナルドでとある伝説的な写真家の本を読んでいた。かなりドップリ読み込み、そろそろ本格的なメシを喰らうため、席を立とうとした。ふと外の風景を目にすると、坐り初めて2時間は経過しているというのに、景色の背景には昼間の名残が漂っていた。単に昼が浸食され暗くなる、というのではなく青はしっかりとその存在を残しつつも、景色の背後で小さくなっていくという感じ。雲ひとつなく晴れていたが、湿潤さはあったのだろう。インターチェンジへ向かうオーバースペックに太い幹線道路のヘッドライトや沿道のネオンサインやらがいやに直線的でかつ鋭ければ鋭いほど優しく、ゆっくりと流れていく、しじま、な時間を彩っていた。

どちらがいいのか?よくわからないが、好むと好まずとを得ず、今日はその繊細な景色というのを問答無用にマスキングする雨が断続的に降るだろう。雨音を聞きながら、その分厚い水蒸気の塊の向こう側に沈み行く、もっとも長い昼間の終わりというのを、想うのも悪くない。
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