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2017年06月01日08:13

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南国の震え

昨週、海外へ行った。東南アジアのとある国。亜熱帯(もしくは熱帯)であるということと、雨季であるということ。一般的な観光客が忌み嫌うところの暑く、そして雨、というロケーションであった。が、個人的には熱帯に行くのに雨も降らず、湿気もなく、景色が間延びしたような季節に行くことが良いとは思わない。行けば解るのだが、熱帯の雨は激しければ激しいほど心地良く、燃え上がるような圧巻の緑は、その空模様によって、よりきめ細かく、またドラスティックに移ろう。この季節に来ずしていつくるのか。実際身を晒した、その景色は想定していた以上だった。

ほぼ曇天だったのだが時に晴れる。雲ひとつない...ということはさすがにないのだが、青空にいくらかの雲が横たわっている、くらいに晴れることもある。豪雨も含めてそれらシークエンスというのは15分も持たないのだが、だからこそ、その青というのはより鮮やかに写る。土地の人々は褐色の肌をしている。行った場所が世界的な観光地で様々な国々から人々がやってきているのだが、ネイティブは直ぐにわかる。何世代にも渡りこの場所で、この熱帯の熱気や日差しを余すことなく浴び続けた深い色合い。素肌に滲む蒸汽のお陰でちからづよい光沢を帯びている。同国では「肌の色が白い」のが美人の停止条件とされているが、その色目の力強さを顕すようにどの女子も気にしていないようだ。が、女性だけでなく、老若男女を問わず持ち合わせている、はにかんだ表情というのは、この国の人々の得がたい人間的魅力を顕しているのだろう。特に若い女子のそれは、扇情的な衝動をも忘れてしまうほど素晴らしい。

日本人は奥ゆかしいという。奥ゆかしい
「慎み深く上品で心がひかれる」
「こまやかな心配りが見えて慕わしい」
その国の人々の感じはそれとはやや異なる。上品さはある。セコセコしない優雅な所作がもたらす独特の品位というところか。作為的でなく様式美や作り込みの埒外であるので接していて気疲れするものではない。そして細やかな心配りについて。具体的に「よく気づくなあ」という、本人にもそこが痒みのポイントだと気づかなかったところに手を届いてくれる...という和風心配りとは違うのだが、具体的では無い分、その善意という想念自体がピュアで受け手の善意が招きだされていくような感覚になる。慎み深いについては、まあ慎み深い。というかシャイなのかも知れない。その表情を目の当たりにすると、内戦、圧政、そしてジェノサイドや地雷・貧困などの副次的被虐による残念な歴史を思い浮かべてしまう。その地に至るまでその国の近代史というの相当学んだのだが、それを抱いた上でその地に立ち、かれらの慎み深い表情を、またそれでもはにかむ彼らを見ると年甲斐もなく号泣しそうになる。その褐色の肌とは対処的でありおのおのの魅力を深めている白い歯。空の青、雲と笑顔にこもれる白、そして褐色、圧倒的な緑。力強く彩りのある国。

心がそれほど揺り動かされるのが,事前に知識を仕入れていた(焼き付け刃だけではなく義務教育やら個人的な興味により得た)ことで、レバレッジが効いたとするのなら、座学というのも悪くない。人の生き死に、とくに遠い国の出来事について、知識ばっかり仕込むのも、それでわかった気になるようで、コレまでは否定的に捉えていた。遠い国の人々の痛みを思いやることができることが革命家の美徳であるらしい。自分にはそんな大それたことはできないにしろ、自らが出向いて目の当たりにした景色と知識を持って心身震えた。その体験をなにかしらに活かせればよいなあ...と思う。

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